【5月12日 AFP】米テキサス州で、政府が国家安全保障上の脅威と見なす外国の市民による不動産購入を禁止する法案が成立しようとしている。反対派はこの措置に対し、少数派に対する差別を助長すると抗議している。

この法案は2023年に一度不成立となったが、反移民・反中国を掲げるドナルド・トランプ大統領の政権復帰以降、共和党主導の同州で再び法制化の動きが活発化。9日に州下院を通過した。

テキサス州の法案「SB17」で不動産購入を禁止する国籍の対象には、中国、イラン、北朝鮮、ロシアが含まれている。さらに最近の修正で、トランプ氏の盟友であるグレッグ・アボット州知事に、新たな国を対象に加える裁量が与えられた。

法案を提出した共和党のコール・ヘフナー州下院議員は「敵対的な国や抑圧的な政権から、テキサスの土地と天然資源を守るため」の措置だと主張している。

この法案に反対し、10日には州都オースティンで数百人規模の抗議デモが行われた。

テキサス州のアジア・太平洋系住民の支援団体「アジアン・テキサンズ・フォー・ジャスティス」の共同創設者アリス・イー氏は「出自や出身国を理由に特定の人々を標的とする法律を作るなら、それは人種差別だ。これは人種差別的な法案だ。ここは、私たちの国でもある」と主張した。

米国の国勢調査によると、2023年時点でテキサス州の人口3130万人のうち約6%にあたる170万人がアジア系で、州内で最も急成長している人種グループとなっている。

近年、米国と中国の間で政治的・経済的緊張が高まる中、米国では複数の州で、中国人による土地所有を禁止する同様の法案が提出されている。

他方でテキサス州では2021年、中国を含む複数の国の企業による電力網接続を禁止する法律が可決している。この法律は中国人富豪の孫広信氏が、州内に大規模な風力発電所を建設するのを阻止するために提出された。(c)AFP