【2月5日 AFP】米集計システム大手スマートマティック(Smartmatic)は4日、同社が昨年11月の米大統領選で不正行為に関与したという虚偽の主張を喧伝(けんでん)し名誉を毀損(きそん)されたとして、ドナルド・トランプ前大統領の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏と米FOXニュース(Fox News)の司会者ら3人を相手取り、27億ドル(約2850億円)の損害賠償を求める訴えを起こした。

 ニューヨーク州裁判所に提出された訴状によると同社が訴えたのは、米メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏が所有する米FOXコーポレーション(Fox Corporation)とFOXニュースネットワーク(Fox News Network)、さらにFOXニュース司会者のマリア・バーティロモ(Maria Bartiromo)、ルー・ドブス(Lou Dobbs)、ジェニーン・ピロ(Jeanine Pirro)の3氏。

 また、元ニューヨーク市長でトランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏、さらに大統領選でトランプ氏へ入れられた票が投票機によって民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)現大統領に流れたとする虚偽の主張をしたトランプ陣営の弁護士シドニー・パウエル(Sidney Powell)氏の名前も連なっている。

 285ページに及ぶスマートマティックの訴状には「地球は丸い」と書かれ、「2足す2は4である。2020年の米大統領・副大統領選で勝利したのはジョー・バイデンとカマラ・ハリス(Kamala Harris)である」と続けている。

 また「選挙は盗まれたものでも、不正によるものでも、操作されたものでも」なく、「これらは事実である。実証可能であり、反論の余地はない」と述べている。

 さらにFOXニュースなどは「これらの事実をずっと承知していた」と述べ、彼らは選挙に不正も操作もなかったことを知っていながら選挙が盗まれたと報じることにし、「自分たちの物語の中でスマートマティックを悪役にした」と非難している。

 訴状によると、FOXニュースはスマートマティックが選挙を盗み、同社の集計システムが接戦となった6州で使用されていたことを示唆する13件の報道を行った。

 しかし、実際にスマートマティックが集計システムを提供したのはカリフォルニア州ロサンゼルス郡のみであり、郡当局者からは性能を称賛されたと同社は述べている。

 訴状は名誉毀損および誹謗(ひぼう)中傷をめぐり16項目を申し立て、経済的損害に対する賠償および懲罰的損害賠償として27億ドルを求めている。

 FOX側は「われわれは2020年の選挙報道を誇りに思い、この無益な訴訟に対し、法廷で精力的に抗弁する」と述べている。(c)AFP