【9月2日 AFP】中国北部の内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)で、少数民族文化の抹消につながるとの懸念が上がっている学校の新カリキュラムに抗議する異例のデモと授業ボイコットが行われ、数万人が参加した。地元住民らが1日、明らかにした。

 内モンゴル自治区では突然の政策変更により、少数民族系の学校すべてに主要科目をモンゴル語ではなく標準中国語で教えることが義務付けられた。同様の措置はチベット(Tibet)と新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でも実施されており、各地域の少数民族を多数派の漢民族に同化させる狙いがある。

 牧畜業を営む男性(32)はAFPに対し、「内モンゴルのほぼすべてのモンゴル人が改定版カリキュラムに反対している」と説明。モンゴル人の子どもが母語を流ちょうに話せなくなるとの懸念を表明し、「少数言語は数十年で絶滅の危機にひんするだろう」と語った。

 内モンゴル自治区では先月26日、地元教育局がカリキュラム変更を発表したことで緊張が広がった。内モンゴル自治区はモンゴルとロシアと国境を接する地域。モンゴルは旧ソビエト連邦の影響下でキリル文字を導入したことから、伝統的なモンゴル文字を使うのは世界で同自治区だけとなっている。

 牧畜業を営む別の男性(27)によると、各地で数万人が抗議行動に参加。ヒンガン盟(Hinggan League)とその近郊の通遼(Tongliao)市では1日、数百人の武装警察部隊が数か所のバイリンガル寄宿学校を包囲し、生徒が校内から出られないようにしていたという。

 また男性は、先月31日夜には自身のきょうだいが通うホルチン右翼前旗(Horqin Right Front Banner)の学校前で行われたデモで、複数の保護者が警察により殴打され、逮捕されたと語った。

 同日にはモンゴルの首都ウランバートルでも、中国の政策に抗議するデモが行われ、数十人が参加。インターネット上では数千人のモンゴル人が内モンゴル自治区の住民らを支持する活動を展開した。(c)AFP