【11月30日 AFP】陸上男子長距離のモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)が29日、トラック競技に復帰して来年の東京五輪で1万メートルの出場を目指すと表明した。同選手は12年のロンドン五輪と16年のリオデジャネイロ五輪で5000メートルと1万メートルの2冠に輝いたが、17年にマラソンに転向していた。

 36歳のファラーは、2018年のシカゴ・マラソン(Bank of America Chicago Marathon 2018)で優勝したが、マラソンの経験が「勉強になった」と認めた上で、トラック競技に戻る決断を下し、「ビッグニュースだ。トラック競技に復帰して、1万メートルで来年の東京五輪を目指す」「スピードが衰えていないことを願うが、五輪に向けて必死に練習して自分の可能性を見極める」と自身のユーチューブ(YouTube)チャンネルで語った。

 優勝したシカゴ・マラソンでは2時間5分11秒を記録し、それまでの欧州記録を37秒も更新したファラーだが、男子マラソンの世界記録はケニアのエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)が保持しており、長距離ではトラックのように圧倒的な強さを発揮したことはなかった。

「シカゴ・マラソンで優勝したのはうれしかった。ロンドン・マラソン(London Marathon 2018)で3位に入ったのもよかったし、満足した。自分にとっては勉強になった」「(しかし)来年の東京2020では、トラックに戻るつもりだ。トラックに復帰することに本当にわくわくしている中で、1万メートルを目指していく」

 米国の陸上指導者で、ドーピング違反により同国反ドーピング機関(USADA)から4年間の資格停止処分を科されたアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏と師弟関係にあったことから、現在ファラーには厳しい目が向けられている。同氏との関係は2017年に解消された。

 これに先立ち、英国陸上競技連盟(UKA)は28日、サラザール氏と同氏が率いるナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)との関係について再調査を行うと表明した。かつてサラザール氏を天才と称していたUKAのパフォーマンスディレクター、ニール・ブラック(Neil Black)氏は10月にその職を去っている。

 ファラーは今年のシカゴ・マラソンに出場した際、サラザール氏と一緒にいた時期のことをメディアに聞かれ、「自分は何も与えられていない」と激怒しながら答えていた。(c)AFP