【11月12日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は11日、陸上指導者として名誉を失墜したアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏と、米ポートランド(Portland)に拠点を置いていたナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)において、同氏の大勢の教え子を治療したテキサス州の内分泌学者ジェフリー・ブラウン(Jeffrey Brown)博士が、ドーピング違反で4年間の資格停止処分を科されたことに不服を申し立てたと公表した。

 CASは、両氏が米国仲裁協会(AAA)において「反ドーピング規則に違反したと認定され、4年間の資格停止処分を科された」ことに対し、「異議を申し立てた」ことを明らかにした。

 また、2件の仲裁手続きがすでに開始されている中で、両氏は裁判に向けたさらなる準備の時間を要求しており、「現段階でこの2件に関するヒアリングは、2020年3月まで行われない見通しである」という。

 サラザール氏によるドーピング違反は、テストステロンの不正取引、ドーピング検査プロセスの改ざん、そして脂肪燃焼を促進させるL-カルニチン(L-carnitine)の違法注射などに及ぶとされているが、本人は不正行為を全面的に否定している。

 これまでサラザール氏を支援してきたスポーツ用品大手ナイキ(Nike)は先月、同氏が米国反ドーピング機関(USADA)から資格停止処分を科されたことを受け、オレゴン・プロジェクトを閉鎖する意向を明らかにした。

 当時ナイキの最高経営責任者(CEO)を務め、現在はその地位から退任しているマーク・パーカー(Mark Parker)氏は、五輪で通算4度のタイトル獲得を誇るモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)らを指導したことで知られるサラザール氏の処分が発表された際に、同氏への支援を続けると述べていた。(c)AFP