【10月16日 AFP】国際通貨基金(IMF)は15日、世界経済の見通しを発表した。今年の世界全体の経済成長率は、米中貿易摩擦に加え、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)などの要因で景況感や投資が下押しされたため、前回発表より0.2ポイント低い世界金融危機以降で最低の3.0%になると予想している。

 IMFは、経済の見通しは危機に直面していると警告。新たな対応策は限られているとして、政策立案者らに貿易摩擦の解決を訴えた。

 IMFのギタ・ゴピナート(Gita Gopinath)経済顧問・調査局長は、「(各国で)時を同じくして経済が減速し、景気回復の見通しが不透明なことから、世界経済の見通しは依然として心もとない」と指摘。

 ゴピナート氏によると、主要国の中央銀行は既に経済成長への打撃を和らげるため金利を引き下げており、それがなければ景気はさらに減退していたとみられる。しかし同氏は、金融政策は「唯一の選択肢にはなり得ない」として、ドイツなどの国は低金利を生かして投資を促進し、経済成長を下支えすべきだと述べた。

 IMFは、見通しではリスクが目立っていると説明し、今後の貿易政策が見通せないことから企業が投資を控えて景況感が悪化し、関税そのものより大きい部分が経済成長から削られると警告した。

 しかし世界経済の減速は貿易だけが原因ではない。発表によると、例えば中国経済は国内需要が減速する中、狙い通りに成長が穏やかになっている。

 ブラジルやインド、メキシコ、ロシア、南アフリカなどその他の主要経済国は今年、「それぞれの理由」で経済成長が鈍化しているが、2020年には回復するとみられている。(c)AFP/Heather SCOTT