【10月10日 AFP】世界経済フォーラム(WEF)は9日までに2019年版の「世界競争力報告(Global Competitiveness Report)」を発表し、シンガポールが1位となった。昨年首位だった米国は2位に後退し、WEFはその理由としてドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が引き起こした貿易戦争を挙げている。

 WEFは各国の実業家や政治家が集まる年次総会「ダボス会議」の主催団体で、1979年以降、生産性および長期成長の面で各国・各地域を評価した世界競争力報告を毎年発表している。

 報告書においてWEFは米国を「今もってイノベーション大国である」とした一方、問題の兆候も現れていると指摘。

 報告書は経済データのほか、行政調査のデータも参考にしている。WEFのサーディア・ザヒディ(Saadia Zahidi)氏によると、米国の健康寿命は今や中国より短く、競争力以外でも順位を落としている。

 世界保健機関(WHO)が昨年発表した統計によると、誕生時に見込まれる健康寿命は中国が68.7年、米国が68.5年だった。

 報告書では競争力をインフラ、健康、労働市場、金融システム、公的機関の質、経済の開放度などの指標を0から100までの数値で評価。シンガポールは84.8点で首位となり、米国は2018年の85.6点から83.7点に下がったが、これについてWEFは米中の関税合戦によって起きた貿易転換によるものと指摘している。(c)AFP