【12月25日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)を制す歴史的快挙を果たし、女子テニス界で旋風を巻き起こしている大坂なおみ(Naomi Osaka)は、同大会で多額の賞金を手にした上に日本社会における人種の問題に一石を投じたと、ミス・ワールド(Miss World)の元日本代表が主張している。(※この記事は、2018年10月3日に配信されました)

 20歳の大坂は、9月にニューヨークで行われた全米オープン女子シングルス決勝で、幼少期から憧れていたセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)を6-2、6-4で破り、スポンサーが破格の契約オファーを用意するなど、世界的な広告塔になりつつある。

 しかし、2年前にミス・ワールドの日本代表に選ばれた吉川プリアンカ(Priyanka Yoshikawa)さん(24)は、片方の親が外国人である子どもが年間で2パーセントしか生まれていない日本において、大坂の存在が文化的な壁を打ち破る手助けになり得ると考えている。

 インド人の父と日本人の母の間に生まれた吉川さんは、AFPの取材に対して、「なおみはまさに模範的存在」「日本は彼女を誇りに思わなければ。彼女は壁を打ち破ることができる存在で、大きな影響力を及ぼせる」と語った。

 日本人の母親とハイチ生まれで米国育ちの父親を持つ大坂が、日本人であることの意味に光を当てるだろうと話す吉川さんは、「彼女の話し方や腰の低さは、まさに日本人」とすると、日本では外国人の血がまざっている人を「ハーフ」と呼ぶことについて言及し、「日本では『ハーフ』として、ひとくくりにされる」「片方の親がロシア人や米国人もしくはアフリカ系でも、日本では『ハーフ』として一つのカテゴリーにまとめられる」と語った。

■「言葉は関係ない」

 吉川さんがボリウッド(Bollywood)スターのようなルックスでミス・ワールド日本代表の座を勝ち取ったのは、2015年に宮本エリアナ(Ariana Miyamoto)さんがアフリカ系日本人として初めてミス・ユニバース(Miss Universe)日本代表に選ばれ、厳しい批判にさらされた後のことだった。当時のソーシャルメディア上では、代表に選ばれるのは「ハーフ」ではなく「純粋な」日本人であるべきだという論争が巻き起こった。

 吉川さんや宮本さんとは異なり、大坂は幼少期に家族で米フロリダ州に移住したため、日本語はほとんど話せないが、吉川さんは「言葉は関係ない」と言う。

 肌の色が原因で子どもの頃にいじめられたという吉川さんは、「肌の色が黒かったり、外国人の血がまざっていたりするからといって、なぜ人々は気にするのでしょうか? いまでも、毎日カレーを食べているのかとか、ちゃんと箸を使えるのかとか聞かれる」「だけど、彼女が信じる自分が本当の彼女。自分が日本人だと思うなら日本人だ」と訴えた。

「なおみの存在は、将来に向けて大きな役割を果たしてくれる。だけど、人々が『ハーフ』を日本人としてとらえるには、まだ時間がかかりそう。なおみのような人がもっと必要」 (c)AFP/Alastair HIMMER