【10月2日 AFP】女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)が1日、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)で優勝した経験は「ほろ苦い」もので「最高にハッピーな思い出ではない」という驚きの告白をすると同時に、キャリア最高の勝利を忘れ去ろうとしていたことを明かした。

 新星として一躍頭角を現した20歳の大坂は、先月の全米オープン決勝でセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)を破ったが、この試合はセレーナがカルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審を「盗人」と呼び、性差別があったと批判したことによって大荒れとなった。

 世界ランク6位の大坂は「あのとき自分がどう感じたかについては、いろいろと言いたいことがある」とコメント。セレーナが怒りを爆発させた異様な光景が大きな話題となり、自分が日本勢初の四大大会(グランドスラム)優勝者になったことはかすんでしまったものの、大坂はこれまで米国の女王を責め立てることはしていない。

「私にとってはなんというか、全米オープンの思い出は少しほろ苦いものになっている」「日がたつにつれて、あのことについては考えたくなくなった。なぜなら、私にとっては必ずしも最高にハッピーな思い出ではないから」「ただ、あのことから前進したかった」

 中国オープン(China Open 2018)に出場中の大坂はこの日、ベストの状態ではなかったものの、女子シングルス1回戦で予選勝者のザリナ・ディアス(Zarina Diyas、カザフスタン)を6-4、6-3で圧倒。2回戦ではノーシードのダニエル・コリンズ(Danielle Collins、米国)と対戦することになった。

 大会第8シードの大坂は現地北京でのインタビューで、グランドスラム制覇について好物の抹茶アイスになぞらえ、「味わってみると、甘いけれどもすごく強烈なものでもある。そういう感じの思い出」と明るく答えていた。

「もちろん、グランドスラムを勝てたのはうれしい。何ものにも代えがたいものだけれど、すごく変な感じがして、そのことについて考えたくなかった」「とにかく、横に追いやっておきたかった」

■優勝候補の一角はウォズニアッキ

 今大会では世界1位のシモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)が負傷で1回戦を途中棄権したほか、セレーナも欠場していることから、大坂と第2シードのキャロライン・ウォズニアッキ(Caroline Wozniacki、デンマーク)が優勝候補に挙げられている。

 今年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2018)を制し、大坂と同じくグランドスラムのタイトルを保持しているウォズニアッキは、初戦でスイスのベリンダ・ベンチッチ(Belinda Bencic)に6-2、6-3で快勝。2回戦ではノーシードのペトラ・マルティッチ(Petra Martic、クロアチア)と顔を合わせることになった。

 一方、ウォズニアッキと同じく元世界1位で現在は同15位のガルビネ・ムグルサ(Garbine Muguruza、スペイン)は、エカテリーナ・マカロワ(Ekaterina Makarova、ロシア)を6-0、6-4で退けた。7回目のマッチポイントでようやく勝利を手にした第14シードは、2回戦でアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka、ベラルーシ)を迎え撃つ。(c)AFP/Peter STEBBINGS