【3月11日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は10日、カリブ海の米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)が、新生児の先天性異常との関連が示されている蚊媒介感染症、ジカ熱の大流行の危機に直面する恐れがあり、対策のための財政支援が早急に必要だと警鐘を鳴らした。

 CDCのトム・フリーデン(Tom Frieden)所長は電話会議形式で報道陣の取材に応じ、自身が同自治領への現地視察から戻ったばかりであり、そこで目撃した事態に憂慮していると語った。

「プエルトリコは、ジカウイルスとの闘いの最前線にある。これは厳しい環境下での闘いになっている」とフリーデン所長は述べた。

 同所長は「プエルトリコで年内に、数十万人規模のジカウイルス感染者、そして数千人規模の妊婦の感染者が出る恐れがあると非常に懸念している」と続け、「雨期が間近に迫っており、連邦議会からの財政的支援が緊急に必要だ」と訴えた。

 ジカウイルスがすでに猛威を振るっているブラジルでは、頭部が通常より小さい状態で生まれる先天性異常、小頭症の新生児が数千人に上っている。

 一部の小頭症の症例は、母親が妊娠中にジカウイルスに感染したことに直接的に関連するとされている。

 研究者らは、ジカウイルスが先天性異常の原因になると証明されてはないと注意を促しているが、これまでに得られた証拠はその可能性を強く示唆している。

 また、フリーデン所長は、体内免疫系が神経系を攻撃するまれな疾患のギラン・バレー症候群(GBS)とジカウイルスとの関連についても「近い将来に証明される可能性が高い」と述べた。