世界選手権を3度制したプルシェンコの棄権が伝えられると、羽生は人生で最高の演技を披露し注目を一身に集めた。

 ゲイリー・ムーア(Gary Moore)の楽曲「パリの散歩道(Parisian Walkways)」に合わせ、羽生は4回転トーループ、トリプルアクセル、そして3回転ルッツ・3回転トーループのコンビネーションジャンプを次々と決めて見せた。

 羽生は、今季のグランプリ(GP)ファイナルでチャンの持つ世界歴代最高得点を破る99.84点を記録したが、今回はそれを1.61点上回る演技を披露した。

「100点を超えたいという気持ちは特になかったです。自分のできる最高の演技をすることだけを考え、それができました」

「得点を見て、本当に本当に驚きました」

 23歳のチャンはトリプルアクセルの回転不足もあり、セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninov)の「第1番エレジー(Elegie in E Flat Minor)」に乗せたSPは、97.52点で2位にとどまった。

 団体戦のSPでプルシェンコの得点を上回る滑りを披露した羽生は、子供の頃に憧れた選手と二度と戦うことができない寂しさを感じたという。

「自分の滑走順が来たとき、プルシェンコ選手が1位にいないことが寂しかった」

「彼のおかげでスケートをやってこれた、心から尊敬し憧れています。ただ悲しいです。団体戦では一緒に滑れる機会があって本当に良かったです」