■繰り返される政治的混乱

 デモ参加者らはインラック首相の退陣と、現在はドバイ(Dubai)を中心に活動している首相の兄、タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相の影響力の排除を求めている。富豪のタクシン元首相に対しては特に、タイ南部の国民や首都バンコク(Bangkok)の中間層、エリート層の間で嫌悪感が強い。

 民主党は2006年にも選挙をボイコットしたことがある。その後の政治的混乱の中で軍事クーデターが発生し、当時首相だったタクシン氏の失脚につながった。

 タイの元外交官で京都大学(Kyoto University)東南アジア研究所のチャッチャワーンポンパン・パウィン(Pavin Chachavalpongpun)准教授は、「選挙が技術的な理由で無効とされれば、今回のデモも当時と同じような状況を作り出す可能性がある」と指摘する。「国際社会の注目がこれほどタイ情勢に集まっている中で、総選挙のボイコットは民主党に悪い影響があるだけだ」

(c)AFP/Anusak KONGLANG