【1月8日 AFP】「できれば、イモ虫だけを食べていたいぐらいだ」。30代のイブさんは、こう話すほどイモ虫が大好物。中央アフリカに里帰りし、今は首都バンギ(Bangui)の空港で帰国便を待っているところだが、これから向かう自分が住んでいる国では、イモ虫を食べるなど夢また夢だ。

 イモ虫(中央アフリカでは「マコンゴ」)への情熱はイブさんだけのものではない。バンギの市場には、イモ虫を売る屋台に人々が群がる。イモ虫のくん製を売っている女性によると、今はオフシーズンのため、5リットルのバケツ一杯の値段が通常よりやや高めの3000から3500 CFA(約630円)という。

 イモ虫の食べ方はさまざまだ。ピーナツソースをつけてナマで食べるもよし、くし刺しにして焼くもよし、葉っぱにくるんでローストするもよし。乾燥させたイモ虫の場合は、毛を抜いたあとで沸騰した湯に入れ、最後にソースで味付けをする。

 イモ虫には、牛肉や魚よりも豊富なタンパク質と脂肪分が含まれ、栄養価も高い。そのため、豊かな水・森林・鉱物資源の争奪戦などが絡んだ政情不安と貧困の問題で揺れる同国において、食料不足の解消に一役買うとの期待がかかる。

 国連食糧農業機関(United Nations Food and Agriculture OrganisationFAO)の2004年の統計によると、同国人口の約85%がイモ虫を常食している。

 イモ虫には、栄養面で優れている以外に、多くの住民にとって貴重な収入源になるという側面もある。イモ虫を拾って集めるだけと手間がかからないため、特に女性に人気だ。

 イモ虫のシーズンは5-6月と9-10月。毎年この時期になると、主に南西部のロバイエ(Lobaye)州の森に住民たちが分け入ってイモ虫を集め、「旬」のイモ虫が市場に並ぶ。(c)AFP/Coumba Sylla