「ヴェルサーチ」、兄ジャンニ暗殺描いたTVシリーズを非難
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【1月11日 AFP】ヴェルサーチ ファミリー(Versace)は10日、ファッション界の巨匠、ジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace)の暗殺事件も題材にしたTVシリーズは「フィクション作品」を元にしていると非難した。
本シリーズは、セレブ御用達デザイナーだったジャンニ・ヴェルサーチが1997年7月に射殺されたマイアミ(Miami)の大邸宅で大半が撮影されており、米国と欧州で来週公開される予定だ。
声明では、「ヴェルサーチ ファミリーはこのテレビシリーズの制作を認可しておらず、まったく無関係です。フィクション作品としてとらえられるべき」と声明で発表した。「テレビシリーズの制作を行っている会社によると、本シリーズはモリーン・オース(Maureen Orth)著書を原作にしている。しかし、オースの本はゴシップや憶測であふれている」と、「ジャンニ・ヴェルサーチの暗殺:アメリカ犯罪ストーリー(原題:The Assassination of Gianni Versace: American Crime Story)」についてコメントした。
「ジャンニ・ヴェルサーチやその家族の私生活の細部について、彼女が語れる根拠がない。だが彼女はセンセーショナルな話にしようと、矛盾の多い股聞きの情報を盛り込んでいる」
今回制作総責任者を務めるライアン・マーフィー(Ryan Murphy)は米娯楽誌「バラエティ(Variety)」に対し、オースの本は「著名で褒めたたえられているノンフィクション作品で、20年近く厳しく吟味されている」と話した。
ヴェルサーチ ファミリーは特に、ジャンニ・ヴェルサーチがHIV陽性であったとのオースの主張に対して異議を申し立てた。「これは恥ずべきことだから、ではない。ジャンニはこの問題に最初に取り組んだ一人であり、チャリティーイベントを企画したり個人的に寄付を行っていた」とジャンニの妹、ドナテッラ(Donatella Versace)は伊紙「レプブリカ(La Repubblica)」に語った。
しかしヴェルサーチ ファミリーによると、「彼女の恐ろしい主張では、ジャンニと共に暮らし働き、彼の私生活について一番よく知っているヴェルサーチ家から提供した反対の情報を無視している」という。
■リスペクトと思いやり
兄の死後ブランドを引き継いだドナテッラは、「死後何年も経っているのに死者に対するリスペクトに欠け、もう自身を擁護できない人に対してスキャンダルを作り出すという行為に驚いている」と明かした。
本作をドナテラは見ていないと言う。マーフィーは彼女が見てくれると願っており、「もし見てくれたならば、彼女と彼女の家族に対してリスペクトと思いやりを持っていると分かってもらえる」と「バラエティ」誌に話した。「彼女は私の本の中で理想的なフェミニストだ。ドナテッラは厳しい状況に足を踏み入れなければならなかったが、それを上品に優れた見識を持って行ってみせた」
本作の中でジャンニ役としてヴェネズエラ人俳優のエドガー・ラミレス(Edgar Ramirez)、ペネロペ・クルス(Penelope Cruz)や歌手のリッキー・マーティン(Ricky Martin)らが出演する。
ジャンニ・ヴェルサーチの国際的ファッション帝国は、服やフレグランス、インテリアなどを扱っていた。彼は50歳の時にアンドリュー・カナナン(Andrew Cunanan)によって殺された。彼の動機は今なお不明のままだ。
ダレン・クリス(Darren Criss)演じるカナナンは、ジャンニがいるマイアミビーチに至るまで、他に少なくとも4人を手にかけた後、ジャンニを殺害。その数日後に自殺した。
撮影のほとんどがフロリダにあるジャンニの大邸宅で行われたが、一部はギリシャローマ風の派手な絵画など、豪華な家の細部まで忠実に再現したロサンゼルスのフォックス・スタジオ(Fox Studio)で撮影された。 (c)AFP