■「see now, buy now」の先を見据えた施策

 今回のショーは、バンドツアーに似たキャットウォークの巡業「トミー・ナウ(TOMMYNOW)」の3度目のプレゼンテーションとなった。昨年は母国のニューヨーク(New York)、そして2月にロサンゼルス(Los Angeles)で行われた、この贅沢で莫大な費用をかけたアイデアは、すでに成功を証明している。ヒルフィガーは、過去数シーズンで広がりつつある「シー・ナウ・バイ・ナウ(see now, buy now)」の即時販売形式を取り入れることで利益を生んでおり、このトレンドは今後も続くと確信している。

(2017年9月18日撮影)(c)AFP/DANIEL LEAL-OLIVAS

 彼はこのアイデアをさらに発展させ、ゲストがモデルの写真を取れば、そのモデルが着用している服を即座に購入できるアプリを制作した。「人はランウェイなどで何かクールなものを見つけたら、それを次の日には着たいと願う。とくに若い人たちは、ランウェイで見たものを半年も待って購入したいとは思わない」と語る。ヒルフィガーはデジタル時代と、それと一緒に流行したSNSでの宣伝効果を、逆行できないトレンドであり、つかむべき好機だと見据えている。「私たちは前へ進んでいかなくてはいけないし、それに喜んで応じていかなくてはいけないと思う」

 ヒルフィガー以外にロンドン・ファッションウィークに登場したビッグネームは、17日にショーを行った「ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)」だ。この両者の参加は、大胆な若手デザイナーたちでよく知られるが、「バーバリー(Burberry)」以外の有名ブランドの参加が乏しくなりがちな英国のファッションシーンを後押しした。才能ある人々のフライトへの恐怖を駆り立て、英国の首都の少なからぬ経済不安を他国に暴く形となった、欧州連合(EU)からの英国の離脱(ブレグジット、Brexit)の観点から、彼らの存在は特に歓迎された。 (c)AFP/Edouard GUIHAIR