【2月4日 MODE PRESS】移り変わりの激しいグローバル経済において、中国市場は政治的背景や景気の影響など様々な要素によって、ラグジュアリーブランドも苦戦を強いられている。

 目を見張るほどの著しい成長を肌で感じられない一方で、引き続き中国、特に上海の市場動向に熱い視線を送りつづけている企業もある。先日、中国・上海でイベントを開催した英国ブランド「ダンヒル」も、そのひとつといえるだろう。

 ダンヒル・インターナショナルのファブリッツィオ・カルディナリCEOに、今後のマーケット動向やラグジュアリーブランドの未来、また日本市場への期待値について話を聞いた。


■インタビュー:ファブリッツィオ・カルディナリCEO(ダンヒル・インターナショナル)

Q:今回上海でこのような形で発表したのはなぜですか?

A:ここ数年中国の景気があまりよくありませんでした。我々にとっても数字的に良い結果とはいえませんでしたが、この国が持っているポテンシャル自体にはとても期待しています。世界で最も人口の多い中国で、どれだけの消費者に対してインパクトを与えられるかということをメインに考えました。さらに、アジア諸国からも集まりやすいという点も考慮して今回は上海で開催することがベストだという結論に至りました。

 また、上海はファッションに対する感度が中国のなかでも高いと思います。北部にいくに従って、保守的なイメージがありますが、都市開発、そしてビジネスという点においても、やはり上海と北京ではかなりの違いを感じます。個人的な感想ですが、現時点においては、上海のほうがインターナショナルな要素が強いように感じます。

Q:これまでを振り返って、最近の中国市場の成長ぶりについてどう思いますか?

A:そうですね近年の中国市場の成長には、 3つのキーワードがあるのではないかと思っています。一つ目は『模索期』です。だいたい15年前から20年前がまさにその時期ですね。政府がどのブランドに対して買うべきなのかというコントロールしていた時代です。その頃は、消費者もブランドに対する知識や、それらについて知るためコミュニケーションツールがなかったので、何が正しいのか、何が間違っているのかという所も、彼ら自体がわかっていませんでした。当時は、あまりブランドというものがそれほど存在しなかったというのも事実です。

 2つめのキーワードは、『ビックブランドの市場本格参入』ですね。これに対して消費者は大きな魅力と期待を感じていました。家族や友人に対して見せびらかすことを良しとしていた時代です。

 3つめのキーワードは、『洗練された意識』です。これは、まさに今現在のことをさしているのですが、以前に比べて消費者が質に対して、そしてスタイルに対して意識が高くなりはじめました。購買経験からブランドを理解してきています。以前のように見せびらかすだけではなくて、意識が高くなってきていると思います。