■巧妙なマーケティング戦略?

 欧米諸国の多くでは、英国でいうところの「グレー・ポンド」、つまり高齢者の自由になるお金が増えている。その背景には、世界金融危機後、賃金が平均して頭打ちとなる中でも年金の大部分は保護されているという実情がある。

 経済ビジネスリサーチセンター(Centre for Economic and Business ResearchCEBR)によると、2012年の英国全体の家計支出の約半分が50歳以上の人々による消費によるもので、特に増えているのは衣服費だという。

 しかし1960~70年代にトップモデルとして活躍し、現在は作家として活動するサンドラ・ハワード(Sandra Howard)さん(74)は、この新しいブームについては懐疑的で、年配の女性をファッションの広告に起用する理由は「熟年パワーではなくショックパワー」と分析している。

 ハワードさんはAFPに対し、「ロレアル」の顔になっている女優ヘレン・ミレン(Helen Mirren)さんを例に挙げ、「美しい高齢の女性を美容広告に起用するのは一つの手です、確かに効果があると思います」と話したが、その一方で「ファッションフォトでは、年配の女性と若い女性を交ぜるのは良いと思いますが、度を越して戦略が見え見えになると今度は少し不快感をもたらします」と指摘した。

 とはいえ、ハワードさんも時代の絶対的な変化は感じているようで、「私がモデルをしていた頃は、30歳でもう老け過ぎだって言われていましたから!」と笑いながらコメントした。(c)AFP/Alice RITCHIE