幾左田は、10年前に最初のファッションブランドを立ち上げた一方、昨年には、自身の名を冠した2つ目のブランドで受賞を果たした。「バレエの優雅さ」と「パンクの力強さ」の組み合わせは奇妙と思われるかもしれないが、幾左田はそうではないことを証明しようとしている。 

 幾左田によれば、ステージ上の美しさだけがバレエではない。競争が激しく、厳しいことで知られるこの芸術の世界でダンサーたちが耐え忍ぶ苦痛や苦悩は、観客からは見えないと幾左田は指摘する。

「舞台裏でのギャップや挫折も味わったので(バレエに対して)“中指を立てたい”という思いもある。それをパンクという精神的な部分に落とし込んだ」とAFPに語り、「ただ綺麗なだけじゃないという思いを伝えたかった。例えばトウシューズを脱いだ後のグロデスクな傷や、舞台の上での笑顔の裏側の苦しい表情などのコントラストだ」と続けた。

 自立した女性のための服を作り、欧州市場に風穴を開けたいとの野望を抱く幾左田は、すでにカナダや中国、レバノン、ロシアに店舗を構えている。(c)AFP/Jennie MATTHEW