■再出発のブランド

 もっとも期待されるショーは、ニューヨークを象徴するブランド「カルバン・クライン(Calvin Klein)」だ。ベルギー人デザイナーのラフ・シモンズ(Raf Simons)がチーフ・クリエイティブ・オフィサーとしてデビューを果たし、メンズウェアとウィメンズウェアを合同で披露する。

 デザインデュオ、フェルナンド・グラシア(Fernando Garcia)とローラ・キム(Laura Kim)も、「オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)」のクリエイティブ・ディレクターとしてデビューを果たす。彼ら自身のブランド「モンス(Monse)」のショーの後、連続的なスケジュールで発表を行う予定だ。

■ヨーロッパからNYに上陸も

 イタリアのランジェリーブランド「ラペルラ(La Perla)」は初めてのレディ・トゥ・ウェアを9日に発表。ドイツ人デザイナー、フィリップ・プレイン(Philipp Plein)もミラノから発表の場をニューヨークに移し、フランスのブランド「ザディグ エ ヴォルテール(Zadig and Voltaire)」も20周年を13日に祝う予定だ。

■トランプの影響

 トランプ大統領に対するニューヨークの政治的な論争にも注目だ。何人かのデザイナーは、大統領就任式のあとにワシントン(Washington)とニューヨークで開催された女性たちのデモに参加した。米国ファッション協議会(The Council of Fashion Designers of America)は、共和党が連邦政府の資金援助を禁止した女性の医療支援団体「プランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood)」をサポートするため、ピンクのボタンを配布する。「ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)」を含む40以上のブランドが参加すると報じられている。

 さらに、トランプ大統領のライバルであり、ファッション業界で根強い人気を持つヒラリークリントン(Hillary Clinton)は、米国郵政公社(US Postal Service)の新たな「オスカー・デ・ラ・レンタ」切手発売を記念した式典でスピーチを行う予定だ。このイベントには数多くのセレブリティが駆け付けるだろう。

■その意義は?

 半年後ではなく、今のシーズンに合った服を提供するという消費革命は「トミー・ヒルフィガー」や一部のブランドにより昨年、幕を開けたが、今のところ行き詰っているようだ。「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」は先週、最高責任者のステファン・ラーソン(Stefan Larsson)の辞任を発表した。移り変わりの激しい小売市場でどのようにアパレルラインを売り出すかという点においての、意見の相違が原因だ。

 デザイナーのカーリー・クシュニー(Carly Cushnie)は「今日のファッション界においてもっと嘆かわしいのは、いろんなことが起こりすぎていること」と語る。「我々がみんな一緒に同じ時期に発表したり協力したりしていたときのほうがよかった」

 またファッションウィークが現在の形式のままで生き残れるかを問う人たちもいる。ライブストリーミングなど消費者に直接訴えられる手段がある今、デザイナーたちはもはや古いカレンダーにこだわる必要がないことを示唆しているからだ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)」の元ファッションコラムニストであるクリスティーナ・ブリンクリー(Christina Binkley)は「新しいデジタル時代、そして過密な小売市場においてどのようにファッション業界が機能していけるかという困難にみんなが直面している状態だと思う」と語った。(c)AFP/Jennie MATTHEW