【6月8日 AFP】カナダ政府は7日、向こう10年間で軍事費をほぼ倍増させる計画を発表した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に国防費の増額を要求し、世界のリーダーとしての責務を負うことに消極的な姿勢も見せる中、世界情勢への関与を深める立場を打ち出した格好だ。

 計画によれば、カナダは軍事費を今年の189億カナダドル(約1兆5400億円)から2026年に327億カナダドル(約2兆6600億円)まで引き上げる。

 ハルジット・シン・サージャン(Harjit Singh Sajjan)国防相は「政府は(カナダ軍に)十分で着実な予算を投じてこなかった」と指摘。「世界の先行きがますます予測しづらくなる中、カナダ政府が当事者として責任を果たす時が来た」と表明した。

 トランプ大統領は先月、ベルギーのブリュッセル(Brussels)で開かれたNATO首脳会議で、加盟国の集団的自衛権を保障したNATO条約第5条の保持を確約せず、国防費が目標の国内総生産(GDP)の2%に届いていないとして加盟国を批判していた。

 カナダが軍事費を計画通りに倍増させた場合、2026年にGDP比は現在の1%未満から1.4%に上昇する。

 米国のジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官は「世界各地でみられる現在の安全保障上の課題を踏まえれば、カナダの道徳的な発言は強い軍事力というハードパワーで支えることが重要だ」と述べ、カナダ政府の発表を歓迎した。(c)AFP