【三里河中国経済観察】中国、アジア太平洋経済に確かな安定性を注入
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【12月1日 CNS】アジア太平洋経済協力会議(APEC)のスポットライトが、再び中国に向けられた。2026年、中国は3度目となるAPEC会議を深セン市(Shenzhen)で開催する。上海市、北京市に続く3都市目であり、地図上で結ぶと「トライアングル」が現れ、中国経済をけん引する長江デルタ(上海市、江蘇省<Jiangsu>、浙江省<Zhejiang>)・京津冀(北京市・天津市<Tianjin>・河北省<Hebei>)・粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)の三大成長極を象徴している。
3度のAPEC開催は、中国経済が世界に溶け込み、対外開放を深めてきた歩みと一致している。2001年の上海APECでは、唐装を着た首脳たちが貿易投資の自由化を語り、「上海宣言」が誕生した。同年の世界貿易機関(WTO)加盟は、長江デルタが国際分業に深く参画する転機となり、中国経済の加速を後押しした。2014年の北京APECでは、京津冀協同発展が国家戦略に格上げされ、「一帯一路(Belt and Road)」構想の発展とともにアジア太平洋自由貿易区のプロセスが始動し、地域経済に新たな活力をもたらした。新時代に入り、中国は地域包括的経済連携協定(RCEP)の実施や「一帯一路」の成果を通じて、高品質な発展で世界に新たな機会を提供し続けている。
こうした背景のもと、2026年APECの開催地として深センが選ばれたのは象徴的だ。粤港澳大湾区の建設が加速し、「深センの存在感」は国際市場で確実に高まっている。APEC加盟経済体は深センの主要貿易相手でもあり、保護主義が強まる世界環境において中国最大級の対外貿易都市である深センを選ぶことは、中国が高水準の対外開放をさらに進める意思の表れでもある。同時に、三大成長極の連携を深化させる国家戦略とも一致している。
長江デルタは改革開放を追い風に一体化を深化させ、2024年の経済規模は全国の約4分の1に達した。京津冀は北京の首都機能とは直接関係しない行政・産業機能の移転を軸に発展し、11年間で地域総量を大幅に伸ばし、「北京の研究+天津・河北の製造」が国家戦略の安全保障と北方開放の重要な支えとなっている。粤港澳大湾区は、かつての「香港の商流を入口にし、広東省を製造拠点とする分業モデル」から制度連携が進むイノベーション共同体へと進化し、深セン—香港—広州のイノベーション・クラスターは世界トップの技術拠点に躍り出た。
現在、三大成長極は改革開放のもとで新たな動力を生み出している。2025年1〜9月には、京津冀が輸出入3.51兆元(約77兆4551億円、10.4%)、長江デルタが12.62兆元(約278兆4855億円、37.6%)、粤港澳大湾区が6.77兆元(約149兆3935億円)を記録。高技術製品や「新三様」の輸出も力強く伸び、三大成長極は中国とアジア太平洋協力の確かな基盤となり、2025年のAPEC加盟経済体との貿易は総額の約6割を占めた。
三つの成長極は互いを補完し合い、まるで三角の支柱のように中国経済のしなやかさと活力を支えている。杭州市(Hangzhou)はG20で、アモイ市は新興5か国(BRICS)で発展が加速したように、APECが深センにもたらす影響は会議そのものを超え、都市の国際的地位や資源の集積を強力に後押しするだろう。中国が描くこの「トライアングル」は、高品質発展の原動力となり、アジア太平洋、さらには世界経済により大きな安定性をもたらすに違いない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News