フランスのイスラム教徒3人に1人が差別を経験、報告書
このニュースをシェア
【12月5日 AFP】フランス国内では宗教に基づく差別が増加しており、調査を受けたイスラム教徒の3人に1人が差別された経験があると答えた。同国の人権擁護官が4日、報告した。
フランスには旧植民地からの移民を通じて、特に北アフリカ出身者を中心に大規模なムスリムのコミュニティーが存在している。国内の法律では、人種や民族、宗教に関するデータの収集が禁止されいるため、差別に関する広範囲な統計を取ることが難しくなっている。
クレール・エドン人権局長の事務所は、フランス国内の5000人を対象とした2024年の調査を引用。それによると、過去5年間に宗教を理由に差別を受けたと答えた人は7%で、2016年の5%から増加した。
差別の率はイスラム系の人々で最も高く、ムスリム、またはムスリムと見なされた人の34%が差別を受けたと答えた。また女性のイスラム教徒では38%が差別を受けており、男性の31%を上回っている。ユダヤ教や仏教など他宗教では19%、キリスト教徒ではわずか4%だった。
報告書は、特にヒジャブ(頭部を覆うスカーフ)を着用するムスリム女性にとって、差別が排除につながる可能性があると指摘した。
フランスの世俗主義(政教分離)は、1905年の「良心の自由」を保障する法律に由来し、教会と国家を分離し、国家の中立性を確保している。しかし近年、この原則は、学校など一部の場でヒジャブなど目に見える宗教的象徴を禁止する根拠として引き合いに出されている。
報告書によると、別の調査では、回答者の約4分の1が同国の世俗主義を「公共空間での宗教的象徴の禁止」と誤解しているという。
報告書はフランスの世俗主義に関する教育の改善を求め、宗教的分断に対抗するためとされるヒジャブ禁止などの政治的措置は、むしろ「分断を助長している」と警告した。(c)AFP