【5月13日 東方新報】古代の中国で、貝殻は装飾品、道具、宗教工芸品、貨幣として使われ、絵画のキャンバスとしても使われた。しかし、考古学的な証拠は乏しく、この分野の研究は不足していた。

 最近、中国の研究者が、戦国時代の遺跡で発見された遺物に基づいて、当時の貝殻絵の画像を初めて再現した。

 中国科学院大学(University of Chinese Academy of Sciences)の羅武干(Luo Wugan)教授が他の大学の研究チームと共同執筆した論文が、フランスで出版されている文化遺産の分野を幅広く取り扱う国際的な学術誌『Journal of Cultural Heritage』に掲載された。これは、貝殻絵というユニークな芸術の歴史を、少なくとも中国の戦国時代までさかのぼって論じたものだ。

 当時の貝殻絵の制作は、盛り上がった線を用いて画像を正確に区切り、配置する技法が、三次元ビデオ顕微鏡による観察で明らかになった。この技法は、ヒスイの彫刻で広く使われる方法を彷彿させる。このような小さくて壊れやすい貝殻に施された職人技の複雑さと正確さは、人びとに大きな感銘を与える。

 その後、蛍光X線とラマン分光法による総合的な分析が行われ、貝殻画の色彩装飾に使用された様々な顔料成分が明らかになった。鮮やかな赤色の顔料は辰砂(しんしゃ)から、爽やかな緑色の色合いは孔雀石(マラカイト)から、深く神秘的な黒色には木炭が使われていた。

 貝殻絵に関する考古学的な技術調査によって、この独特の芸術様式は戦国時代に中国北部で栄え、その影響は漢王朝にまで及んだようだ。

 貝殻画は、題材のバリエーションが豊富で、生き生きとした文字と洗練された構図が特徴で、歴史的、科学的、芸術的に計り知れない価値がある。(c)東方新報/AFPBB News