【5月13日 Xinhua News】中国江蘇省農業科学院はここ数年、スマート農業の発展に注力し、モノのインターネット(IoT)やビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などの情報技術と農業の産業チェーン全体の深い融合を推進している。

 同科学院スマート農業イノベーションチームが南京市溧水(りつすい)区で手がけるスマート温室では、AIで調節された適切な温度の中、10種類以上のトマトが盛んに成長している。チームの首席研究員を務める同科学院農業情報研究所の任妮(じん・じ)所長によると、温室には水と肥料のスマート制御システムも備わっている。「季節や開花・結実のサイクルに合わせ、水と肥料を調節し、トマトのより良い成長を促し、『子どもの頃の味』をよみがえらせた」。1ムー(約667平方メートル)当たりの年間生産額は数十万元(1元=約21円)に達するという。

 同チームはさらに、環境の変化や作物の成長、設備の稼働などの状況が全て把握できるデータセンシングシステムを開発した。トマトの株の間には空気センサーや土壌センサー、水質センサーを設置した。周囲にはカメラを取り付け、温室の外には小型の気象ステーションも設けた。チームが開発した微信(ウィーチャット)ミニプログラム「智小農」を使えば、各種の環境モニタリングデータが一目瞭然で分かる。

 任氏によると、スマート温室では温度、光、水、肥料、空気などの指標を単独で調整するのではなく、総合的に調節することで、最適な環境と栄養条件の下でトマトを生育している。科学的な栽培のおかげで「AIトマト」の品質は高く、電子商取引(EC)の販売情報を出すと一瞬で売り切れてしまい、需要に供給が追いつかない状況だという。

 同科学院が開発したスマート農業総合ソリューションは現在、省内の農業栽培拠点6カ所で導入されている。トマト以外の青果にも応用の幅を広げ、すでにイチゴの栽培への利用が始まった。任氏は「AIトマト」が研究室を飛び出し、広大な農村の大地に広がり、農家に増収をもたらすとともに、農村振興を後押ししていると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News