【5⽉8⽇ Peopleʼs Daily】中国政府はこのほど、「大規模設備の更新と消費財の下取りを推進する行動方案」(以下「行動方案」)を発表した。

 設備の更新には巨大な潜在需要がある。中国国家発展改革委員会(以下「発改委」)によれば、2023年の工業や農業などの重点分野の設備投資規模は約4兆9000億元(約105兆円)だった。今後は市場規模が5兆元(約107兆円)を超えるとみられている。

 例えば中国では間もなく、大量に投入された風力発電や太陽光発電などの設備の「大量更新期」を迎える。試算によると、2025年末までに稼働期間が20年を超える老朽風力発電所の規模は120万キロワット分を超える。太陽光発電モジュールも2030年には廃棄集中期に入り、30年間で回収すべき機器は1780万キロワット分に達する。

 発改委の関係責任者は、「大規模な設備更新を推進すれば、消費を促進し、投資をけん引し、さらには先進的な生産能力が増強されて生産効率が高まります。省エネと炭素削減も促進し、安全性を高めることもできます。企業に恩恵をもたらすと同時に国民に利益をもたらす一石二鳥です」と述べた。

 国有系建設会社の中国鉄建は湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に大規模なシールドマシン総合サービス基地を建設した。この基地は陳腐化したシールドマシンを新たな基準に合致するよう改造する施設で、年間で60台を扱うことができる。

 中国鉄建傘下の中鉄十一局武漢重装備の張昆峰(Zhang Kunfeng)社長によると、年末までの予定は3月末までの契約で埋まった。張社長はさらに、「購入によっても設備の更新はできますが、通常ならば、改造に要する費用ははるかに低額です」と説明した。シールドマシンの場合には、改造費用は新規購入の20~25%程度という。

 中国情報通信研究院の余暁暉(Yu Xiaohui)院長は「行動方案」について、研究開発、製造、検査などそれぞれの段階で関連設備の水準を向上させ、製造業全体のハイエンド化発展を促進する狙いがあると説明した。

 グリーン・低炭素への転換も重要だ。中国マクロ経済研究院エネルギー研究所の孫穎(Sun Ying)副所長は、「設備の更新で改造を加速し、先進的な生産能力、高効率製品の割合を向上させていくことで、省エネと炭素削減レベルの絶え間ない高度化を根底から促進でき、国内需要の拡大にも、末端製品のエネルギー利用効率の向上にも役立ちます」との見方を示した。

「行動方案」は、2027年までに工業、農業、建築、交通、教育、文化旅行、医療などの分野の設備投資規模を2023年比で25%以上増やすことを明言した。重点業界の主なエネルギー使用設備を基本的に省エネ水準にして、環境保護評価がA級水準に達した生産能力の割合を大幅上昇させる。経済統計の対象となる一定規模以上の工業企業でのデジタル化研究開発設計ツールの普及率を90%以上、重要工事の数値制御化率は75%以上にする計画だ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News