【5月1日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領(77)は4月30日発行の米タイム誌のインタビューで、大統領選で勝利した場合の自らの第2期政権について、非常に権威主義的なビジョンを示した。インタビューでは、軍を動員した移民の大量強制送還や人工妊娠中絶の禁止を強化する監視について語った他、「国内の敵」を取り締まることも明言した。

 タイム誌は4月上旬にフロリダ州にある私邸で行われたインタビューと、その後の電話インタビューの内容をまとめて掲載。トランプ氏は普段、選挙集会では大まかにしか語らない政策について珍しく詳細に語った。

 トランプ氏は11月の大統領選で共和党候補として、民主党の現職ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領と再戦する。

 内政についての質問では、反対勢力に対処するために合衆国憲法の一部停止もいとわないかとの問いに対し、「多くの場合、中国、ロシア、その他さまざまな外部の敵よりも、内部からの敵の方がわが国にとってはるかに危険だと思う」と答えた。

 大統領選の決定的な争点となりそうな移民問題については、大量強制送還を開始するしか「選択肢がない」と主張。その場合、動員されるのは主に州兵になるが、「制御不能な事態だと思えば、軍を使っても問題はない」と語った。

 インタビュアーが米国の法律は、国内の民間人に対する軍の使用を禁じていると指摘すると、トランプ氏は「彼らは民間人ではない。わが国に合法的に入国していない人間だ。これは侵略だ」と答えた。

 また、移民収容所の設置については「全てを考慮する」としつつも、強制送還プログラムが成功するだろうから収容所は必要ないと思うと述べた。

■人工妊娠中絶の禁止

 大統領選のもう一つの争点である人工妊娠中絶については、中絶を禁止している州で違反者を訴追するかどうかは各州に委ねる考えであることを改めて示した。

 しかし、トランプ氏が在任中に指名した3人の判事により保守色が強まった米連邦最高裁は2022年、女性の人工妊娠中絶を合衆国憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」を覆す判断を下している。この結果、共和党主導のいくつかの州では、中絶が全面的もしくは部分的に禁止された。

 これを自らの功績としたトランプ氏だが、禁止を無視した中絶がないよう州当局が女性の妊娠を監視する必要があるかとの質問に対しては、「彼ら(各州)がそうするかもしれない」と回答するにとどまった。

 また、全国的に妊娠中絶を禁止しようとするあらゆる試みに対しては拒否権を発動しない考えだとした。