【4⽉27⽇ Peopleʼs Daily】中国・江蘇省(Jiangsu)の太倉市(Taicang)は、中国でも独系企業が最も密集している地域の一つで、その数はすでに500社に達した。このさほど大きくない都市がドイツ企業を魅了する理由とは何なのだろう。

 電機関連の安全装置などを手がける独系企業のバーンシュタインの現地法人のヤン・アスマン(Jan Assmann)社長は「市政府はドイツ企業に多くの優遇政策を提供しており、この地のビジネス環境はますます良くなっています」と説明した。独系企業の責任者の多くは同様に、行政サービスの良さを指摘する。さらにアスマン社長によれば、独系自動車部品メーカーが進出すれば工作機械メーカーを引き付け、工作機械メーカーが金型メーカーを呼び込むなどの現象が発生し、独系企業による産業チェーンが形成された。

 独系企業の責任者のほとんどは、太倉のビジネス環境の良さを指摘する。また、市政府は独系企業1社に担当者1人を配置するなどで、行政側と企業の意思疎通を整備した。

 また、独系企業が現地化戦略を強化したことで、中国系企業の標準化や大規模生産がけん引され、現地サプライヤーが急速に発展したことも、ドイツ企業の生産コストが削減することにつながった。さらに、太倉の半数以上の独系企業は同地で研究開発を展開している。

 市内の羅騰堡風情街を散策すると、ドイツ式のパン屋や飲食店が目白押しだ。ドイツ側との協力を始めて30年余を経た現地政府は中独文化の交流や相互参考をますます重視し、ドイツ企業の関係者にとって快適な仕事と生活環境を築いてきた。

 中国は現在、対外開放の度合いをさらに高める政策を推進中だ。外国人の出入国も利便性が高められ、全国を対象に外資参入ネガティブリストを改訂し、製造業分野では制限措置を全面撤廃した。その他にも各種の市場化、法治化、国際化を進めて、一流のビジネス環境を構築する努力を続けている。このことも、独系企業から広く歓迎されている。

 ドイツ経済研究所によると、2023年のドイツから中国への直接投資は前年比4.3%増の119億ユーロ(約1兆9700億円)に達し、過去最高を更新した。中国ドイツ商工会議所が今年初めに発表した調査報告によると、調査対象企業の9割以上が中国で事業を継続し、54%が投資を増やす計画だ。

 庭園の池の水中ポンプや水中照明、その他の水回りの製品を手がけるドイツ企業のオアゼの太倉市法人の沈亜(Shen Ya)社長は、「過去3年間、弊社の業務は毎年平均30%の割合で成長しています」と述べ、今後も中国での投資を増やし、中国市場を開拓していく意向を示した。

 世界経済の回復力はいまだに、強い勢いが出現していない。一方で、中国経済では、最近になり国外の複数の金融機関が2024年の成長率を上方修正するなどの状況がある。前出のアスマン社長は「より多くのドイツ企業がチャンスをつかみ、中国への投資を続けることを希望します」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News