【4月12日 Xinhua News】中国でこの春、ロードランニングが大人気となっている。3月30、31両日は各地で約40の大会が開かれ、マラソンの「スーパーウイークエンド」となった。今月はさらに多くの大会が予定されている。

 中国陸上協会が発表した「中国ロードランニングレース青書」によると、2023年は699のロードレースに計605万1900人が参加した。今年に入ってからも江蘇省の無錫マラソン、湖北省の武漢マラソンの申込者数がいずれも26万人を超えて過去最多となったほか、マラソンなどのロードレースを開催する都市が増え続けている。

 健康志向が高まり、スポーツを生活の重要な一部と考える人が増えたことに加え、大規模大会が観光客の呼び込みや消費促進、都市のIP(知的財産権)確立に一層大きな役割を担うようになり、ロードレース隆盛につながったとみられる。

 大会参加者は衣料品や飲食、宿泊などさまざまな消費を直接的にけん引する。試算によると、過去最多のランナーを集めた無錫マラソンは昨年を45・5%上回る約2億8200万元(1元=約21円)の消費押し上げを実現。広西チワン族自治区の桂林マラソンは桂林市に1億8300万元の直接経済効果をもたらし、関連産業への波及により2億9600万元の間接効果を生み出したと推定されるなど、一つ一つのデータがマラソンの人気ぶりを示している。江蘇省社会科学院経済研究所の李潔(り・けつ)副研究員は「マラソンがもたらす経済効果は誰もが認めるところだろう。大会前後に大勢の参加者が観光客や消費者にもなり、飲食、宿泊、交通、観光、買い物、娯楽などの関連消費をけん引するため、都市経済の押し上げ効果は一層明白になる」と語った。

 マラソン大会は参加者が開催地の景観や文化に触れる機会にもなる。コース設定の際には代表的な自然景観や文化遺産の所在地が選ばれ、都市の特徴や地域性を重視する傾向が強まっている。重慶マラソンは地元の料理にちなみ、ネット上で「火鍋マラソン」と呼ばれており、市内を流れる長江と嘉陵江の合流地点や周囲の山々を見ながら走れる。無錫マラソンは蠡湖(れいこ)や黿頭渚(げんとうしょ)、長広渓湿地、貢湖湾湿地など景勝地を通るコースで「太湖の真珠」と称される風景と文化を楽しむことができる。開催地の特産品を参加賞とするケースも多く、浙江省の金華マラソンでは金華ハムや金華酥餅(パイ)、広西チワン族自治区の柳州マラソンでは螺螄粉(タニシビーフン)が配られた。無錫マラソンでは地元の老舗「王興記」が大会テーマカラーの桜色をした小籠包を提供し、SNS(交流サイト)で話題になった。いずれもマラソン大会が都市への集客に寄与した。

 陝西省社会科学院文化観光研究センターの張燕(ちょう・えん)主任は、マラソン大会に開催地のイメージづくりやブランド化を促進する効果があると指摘。「ランナーは街を走り抜け、メディアが中継する。都市全体の外観や建築物、コース沿いの歴史文化遺産などをまとめて伝えることで広く知ってもらえる」と語った。

 中国陸上協会は、25年に国内で2500のロードレースや関連スポーツ大会が開かれ、参加する市民ランナーは1千万人に増えると推計している。(c)Xinhua News/AFPBB News