【4月3日 Xinhua News】中国天津市の国家スーパーコンピューター天津センターでは、コンピューターラックの中で光るインジケーターランプと機器の稼働音が業務の忙しさを物語っている。

 「毎日の計算業務の3分の2が京津冀(北京・天津・河北2市1省)地域からの依頼だ」。同センター応用研究開発部門の孟祥飛(もう・しょうひ)首席科学者(チーフサイエンティスト)は、スーパーコンピューティングは技術革新と産業発展の「スーパーモーター」だと指摘。計算能力の応用の背景には天津経済の活発な脈動があると述べた。

 スーパーコンピューティングなどに代表されるデジタル産業は今や北方港湾都市・天津のもう一つの発展のよりどころとなっている。

 ソフトウエア・システム開発などを手がける天津卓朗信息科技は情報技術応用イノベーション適応センターの整備を急ピッチで進めており、これまでに十数件のコア生産システム向けアプリケーションの適応作業を完了させた。張坤宇(ちょう・こんう)董事長は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やデジタル高度化の過程において企業は生産ラインとデジタルシステムをすり合わせ、システム性能をテストする必要があると指摘した。

 天津市は現在、企業や科学研究機関などと連携し、適応センターのような質の高い接続プラットフォーム群の建設に力を入れている。産業の川上と川下の「つなぎ役」を果たすことで、産業デジタル基盤の強化を図る。

 天津市工業情報化局情報技術発展処の孫暁強(そん・ぎょうきょう)処長によると、市の関連部門は同市が整備を進める「中国情報技術応用イノベーションバレー」だけでも毎年10億元(1元=約21円)の特別支援金を拠出して産業の発展を促進しており、100億元規模の産業基金も設立してイノベーション原動力を活発化させている。

 中国教育部が2023年に発表した第1次国家級市域産学コンソーシアムリストには、天津大学と天津電子情報職業技術学院が主導する天津浜海ハイテク産業開発区情報技術応用イノベーション産学コンソーシアムも選ばれた。コンソーシアムは同開発区をよりどころとし、中国電子信息産業集団傘下で国産OS(基本ソフト)を手がける麒麟軟件が主導的役割を担う。

 麒麟軟件の全竜(ぜん・りゅう)副総経理は「産学研用(企業・大学・研究機関・運用者)」の深い融合により企業の人材ニーズが高等教育機関の教育システムに直接反映されるようになったと指摘。インターシップなどで企業に所属した学生が卒業後に同企業に就職する割合も高まり続けているという。

 さまざまな措置が天津デジタル産業の発展を持続的に加速させている。

 天津市人工知能(AI)コンピューティングセンターでは、23年3月に第1期が供用されると同時にフル稼働状態となり、現在はバイオ医薬やスマート製造などの100社以上の契約ユーザーにサービスを提供している。データセンター運営などを手がける天津江天数据科技は、北辰区で第1陣8棟のデータセンターを建設中だが、既に10万ラックの運用プロジェクトが決まっている。同社の張健(ちょう・けん)総経理は「天津のデジタル産業の見通しは明るい。よりどころとなる基盤がもっと必要だ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News