【4⽉10⽇ Peopleʼs Daily】中国・山東省(Shandong)の海陽市(Haiyang)の沖合いで1月11日、民間ロケット製造会社の東方空間が開発した「引力1号遥1」が専用船から打ち上げられた。引力1号遥1は衛星3基の予定の軌道への投入に成功した。

 引力1号は世界最大の固体燃料ロケットで、低軌道にならばこれまでの固体燃料ロケットの数倍の6.5トン分を投入できる。しかも液体燃料ロケットに比べれば低費用だ。

 引力1号の成功は、中国の宇宙産業の急発展の縮図だ。宇宙産業とは、ビジネスとして宇宙の利用を模索する営みだ。中国ではすでに、宇宙産業が草創期から急速発展期に移行しつつある。「中国宇宙科学技術活動青書(2023年)」によれば、中国では同年に実施された商業打ち上げは全体の39%を占める26回で、成功率は96%に達した。

 中国ではすでに、ロケット打ち上げ、衛星の開発と製造、衛星を利用したサービスなどの市場体系が形成されつつあり、細分化されたいずれの分野にも、一定数以上の民間企業が参入している。

 2023年には、長光衛星技術が開発した「吉林1号」が中国新記録となる、1回の打ち上げで41基の衛星の軌道投入に成功した。藍箭航天空間科技(LandSpace)が開発した世界初の酸素-メタン液体燃料ロケットの「朱雀2号」は衛星打ち上げに成功した。北京星際栄耀空間科技(i-Space)は開発した「双曲線2号」検証ロケットの2回目の打ち上げを行い、中国初の再利用可能ロケットの実証実験を成功させた。中国の宇宙産業では同年、「初」の文字が続出した。

 宇宙から地上の状態を知る衛星リモートセンシングは、さまざまな分野で威力を発揮する。長光衛星技術の幹部技術者である鍾興(Zhong Xing)氏は「リモートセンシング衛星の商業化により、中国のリモートセンシングデータ取得能力は世界一流の域に達しました」と述べた。以前は地表1平方キロ当たり400~500元(約8400~1万500円)だった衛星リモートセンシングデータの価格は、十数元(15元=約315円)にまで下がった。宇宙産業の発展は、衛星の打ち上げコスト低減と打ち上げ頻度の増加に結び付く。そのことで、衛星ネットワークの構築が加速され、利便性が向上する。

 革新は商業宇宙開発の遺伝子だ。広州中科宇航探索技術(CAS Space)は運搬ロケット開発のための実験を行うために、北京経済技術開発区(Beijing Economic-Technological Development Area)に約1万平方メートルの試験センターを建設した。東方空間は従業員の8割超が研究要員だ。長光衛星技術が2014年12月の設立から現在までに、研究開発に投入した資金は累計13億元(約273億円)を超えた。各社とも技術革新を極めて重視していることが分かる。

 中国はすでに、宇宙関連で多くの革新的成果を出しており、人材も豊富だ。また、中国には宇宙産業にとっても世界で最も大きな市場が存在する。これらは宇宙産業に有利に働いている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News