【2月28日 AFP】仏パリの地下鉄を利用する通勤・通学客は、「数キロ先の別の列車内で急病人が発生したため、運行が遅れています」というアナウンスに戦々恐々とする。救急隊が到着するまで列車が止まり、時には最大45分の遅れが出るからだ。

 しかし、パリ五輪を数か月後に控え、パリを含むイルドフランス(Ile-de-France)地域圏の知事で、同地域の公共交通機関を統括するIDFMのトップでもあるバレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)氏は27日、体調不良者を車内にとどめて列車を止めるという長年の方針を廃止すると表明。

「私たちに必要なのは、体調不良の乗客を列車から降ろし」ホームで手当てを行うことだとし、標準的な緊急対応計画を改め、有効性が認められたと主張した。

 パリ地下鉄を運営するパリ交通公団(RATP)によると、2018年には急病人の発生による列車の停止事例が1日平均10件発生。車内で慌てた乗客が非常停止ボタンを押し、列車がトンネル内で停止することもあった。「急病人」とアナウンスされた98%は「軽度の」めまいだという。

 一部のソーシャルメディアユーザーは、当局の方針転換について、男性がごみ箱に放り込まれるGIF画像などでやゆしている。(c)AFP