【2月17日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)が任命したマリアナ・カツァロバ(Mariana Katzarova)特別報告者(ロシアの人権状況担当)は16日、ロシアの反体制派アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が死亡したことを受け、ロシア政府が反体制派に行っている弾圧の「氷山の一角」にすぎないとの認識を示した。

 ナワリヌイ氏は同日、収監先の北極圏の刑務所で死亡した。ロシアは3月に大統領選を控えているが、現職ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の通算5選が確実視されている。

 カツァロバ氏はAFPに対し、「ある程度予想していたとはいえ、別次元の衝撃だった」と語り、ナワリヌイ氏の死の状況について、検視を含めてロシアとは別に独立した捜査を行うよう求めた。

 カツァロバ氏は「ロシアの人権状況はこの20年間悪化し続けてきたが、2年前にウクライナに全面侵攻して以来、本格的な弾圧となった」「ナワリヌイ氏の死は氷山の一角にすぎない」と指摘。

 さらに、「これ(ナワリヌイ氏の死)は隣国ウクライナの国民、ロシア国民、ロシアの市民社会、ロシア政府の政策に勇気をもって反対する人々全員への攻撃の象徴と言っていい」「われわれはナワリヌイ氏の死を悼むとともに、ロシアで拘束されている人権活動家、記者、弁護士ら、大勢の政治犯の釈放を求める。次は誰なのかと考えずにはいられないからだ」と続けた。

 国連の特別報告者は、特定の問題について国連人権理事会によって任命されるが、国連を代表する立場にはない。(c)AFP