【2月10日 AFP】国連(UN)の独立専門家5人は9日、イスラエルの秘密工作部隊が1月29日にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)の病院でパレスチナ人男性3人を超法規的に殺害したとされることについて、国際法の重大な違反で戦争犯罪に当たる可能性があるとして、捜査を求めた。

 イスラエル軍は、部隊はイスラム組織ハマス(Hamas)の「テロリスト分子」を標的として、ジェニン(Jenin)のイブン・シーナ(Ibn Sina)病院に入ったと説明している。

 パレスチナ自治政府の外務省がX(旧ツイッター)に投稿した病院の防犯カメラのものとされる映像には、武装した男女がベビーキャリアや車いすを小道具として医療従事者や民間人に扮(ふん)して病院の廊下を移動するのが映っていた。

 独立専門家らは、部隊はリハビリテーション病棟に侵入し、3か月前のイスラエルの空爆で負った重傷の治療を受けていた患者とその兄弟、見舞客の計3人を殺害したと指摘した。

 さらに、殺害された男性3人がたとえ実際に「テロリスト」だったとしても、イスラエルは国際法を順守しなければならないと強調。特に「病院で治療を受けている無防備な負傷者を殺害するのは戦争犯罪に当たる」と主張した。

 また、国際法で保護されている無害な医療従事者や民間人を装った点も背信行為で戦争犯罪に当たると指摘している。

 専門家らはイスラエルに対し、有効な捜査を実施し、恣意(しい)的な殺人を防止するとともに、被害者に補償する手続きを策定するよう求めた。策定できなければ、国際刑事裁判所(ICC)に捜査を要請すると警告している。

 国連の人権専門家5人には、パレスチナ被占領地と超法規殺人に関する特別報告者も含まれている。人権専門家は国連人権理事会(UN Human Rights Council)によって任命されるが、国連を代表する立場にはない。(c)AFP