伊当局、「危険な」ヒグマ駆除 動物愛護団体が非難
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【2月8日 AFP】イタリア北部のアルプス山脈(Alps)で、ハイカーにとって「危険」と見なされた2歳半の雄のヒグマが駆除された。トレント(Trentino)自治県当局が明らかにした。動物愛護団体は非難の声を上げている。
「M90」と呼ばれるこのヒグマは6日、森林当局によって駆除された。同県はM90について、「恐れ知らずで、都市部やその周辺に頻繁に出没するという点で、危険な動物だった」と説明した。
M90は何度かハイカーを追い掛けている。直近では1月28日にメッツァーナ(Mezzana)の森の小道で、カップルを500メートルにわたって追い回した。
国際動物愛護団体「OIPA」のイタリア支部はM90の駆除を「近視眼的」で、生物多様性に反すると批判。県当局はM90を射殺したか安楽死させたかを明らかにしていないと指摘するとともに、M90は人里近くで数回目撃されているが、防獣フェンスと生ごみ処理機を壊しただけだと述べた。
駆除命令書に署名した同県のマウリツィオ・フガッティ(Maurizio Fugatti)知事は、県内のヒグマの個体数を管理する必要があると主張した。
同県では2023年4月に森をジョギング中の男性がクマに襲われて死亡したのを受け、1996~2004年に再導入されたクマの危険性をめぐる議論が起きた。
再導入されたクマは50頭にすぎなかったが、近年個体数は増加。公式推計によれば、イタリアには現在、トレント自治県と中部アブルッツォ(Abruzzo)州を中心に120~200頭のクマが生息している。(c)AFP