【1月31日 東方新報】中国南西部のチベット自治区(Tibet Autonomous Region)の現地政府は29日、絶滅危惧種であるチベット牛のクローン種が世界で初めて誕生したことを、中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」に投稿した。

 チベット高原で絶滅危惧種に指定されている「樟木牛(チャンム牛、Zhangmu Cattle)」と「阿沛甲咂牛(アペイジャザ牛、Apeijiaza Cattle)」の体細胞クローン技術による人工繁殖が成功したということだ。

「中国農業科学院北京畜産獣医学研究所」によると、研究者はチャンム牛とアペイジャザ牛の耳の組織を採取し、実験室で線維芽細胞株をつくり、体細胞核移植技術によってクローン胚を作成した。このクローン胚は代理母牛に移植され、正常な妊娠期間を経て、8頭のクローン牛が誕生した。

 チャンム牛とアペイジャザ牛は青海チベット高原の原産種で、現在絶滅の危機に瀕している。農業農村部、全国畜牧局ならびにチベット現地の関連部門は2022年、チャンム牛とアペイジャザ牛の救助保護活動を緊急に開始した。

 2種の牛の血液サンプルを収集し、全ゲノムリシーケンシングデータの収集を完了し、体細胞保存、クローン胚復元などの技術により、ついにチベットの絶滅危惧牛種の救助保護に成功した。

 関係当局は今後、チャンム牛とアペイジャザ牛のクローン胚移植を進め、クローン技術と従来の育種技術を組み合わせて、完全な遺伝システムを構築し、牧畜資源の保護と利用のシステムを改善する予定だ。(c)東方新報/AFPBB News