【1月30日 CNS】「新中国式養生」は中国の若者たちにより広く認知され、受け入れられるようになっている。それはまた、中国の伝統的な食事である薬膳のブームを引き起こしている。

 薬膳とは薬材を食物として用い、食物に薬効をもたらすものだ。薬膳は中国の唐代から始まり、日本にも伝わっている。例えば、日本人が人日の節句(旧暦1月7日)に食べる七草がゆは、薬膳の一種といえる。

 中国では最近、中医(中国伝統医学)病院が作る酸梅湯(梅ジュースの一種)や、生津系飲料(唾液の分泌を促進する飲み物)、祝日に提供する薬膳月餅や、さまざまな薬膳デザートなどが若者たちの胃袋をつかんでいる。また、いくつかの中医病院や漢方薬局が開設した薬膳レストランも、「新中国式養生」のブームに乗じて、ひそやかに人気を博し始めている。

 最近、河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)にある中医医館の食堂と、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)柳州市(Liuzhou)にある中医病院の薬膳レストランがネットで話題になった。多くの若者たちが食事を求めて訪れ、観光客もその名声に引き寄せられてきた。さらに、薬膳レストランの新たな支店の開設を呼びかけるネットユーザーも現れている。

 また、百年の歴史を誇る北京同仁堂(Tongrentang)漢方薬局も、2021年に薬膳レストランを開設した。レストラン内には多種多様な薬材が展示されており、メニュー上の全ての料理は薬材を補助として調理されている。

 レストランでは、季節に応じて一部のメニューを調整している。また、各料理の薬材の含有量は適度で、異なる体質の客も食事を楽しむことができる。特に店内の冬の薬膳では、キバナオウギ(黄花黄耆)、トウジン(党参)、ビャクシ(白芷)などの温補薬材を多く使用している。食客の反応はさまざまで、料理に薬材の風味を感じ、飲むと体が暖かく感じるという人もいれば、料理に薬材を加えることにまだ「慣れない」という人もいる。食客の評価は一様ではない上に、1人当たりの消費価格は約500元(約1万320円、一般的なレストランの約3倍)にも達するが、それでも多くの若者が試しに訪れている。

「新中国式養生」のブームは、薬膳という千年の飲食文化が若い世代に再び注目されるきっかけとなった。都市部では、このブームにビジネスチャンスを見いだし、積極的に薬膳という飲食業の新たなトレンドに乗じるものも見られるようになった。

 特筆すべきは、薬膳が最近注目を浴びているにもかかわらず、レストランが提供する養生薬膳は日常の保健用にしか使えないということだ。漢方医は、治病効果のある薬膳はやはり漢方の専門医の診察を受けた上で処方される必要があると注意を呼びかけている。(c)CNS/JCM/AFPBB News