【12月5日 東方新報】中国南西部の四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で初の国産無人垂直植物工場が公開されたことを12月3日、中央広播電視総台(China Media Group)が報じた。この植物工場は、中国農業科学院傘下の都市農業研究所が開発したものだ。

 土を使わず溶液を用いた室内栽培の一種である「垂直農業技術」は、「施設農業」の先進的段階を象徴するもので、世界の農業科学技術の探求において重要なフロンティア技術だと言える。「垂直農業」は、複数階建ての施設の中で、年間を通して連続的に緑色植物を生産できる効率的な農業システムである。

 このシステムは、都市部だけでなく砂漠や痩せた土地での食料生産にも利用できる。将来の都市環境での地域ごとの安定した食料供給や栽培スペースの拡大という課題を解決することが明らかな利点だ。

 研究開発チームは、植物工場における「光効率が低く、エネルギー消費量が多い」という問題の克服のため、光効率向上の「植物光方式」の開発に成功した。チームが建設した20階建ての「垂直無人植物工場」は、このタイプのものとしては世界初である。

 都市農業研究所の甘炳成(Gan Bingcheng)副所長は「現在、成都市の自動栽培システム全体が植物栽培技術の最先端で、施設単体の階層数も世界一だ」と説明する。

 20階建てのこの栽培システムは、独自に改良された作物品種、垂直3次元かんがい/栽培システム、養分自動供給システム、AIベースのスマート制御システムを利用することで、年間を通じ安定した緑色食品の生産が実現できたという。

 このシステムは気候や地理的な制約を受けず、光や温度などの条件をコントロールして、およそ35日ごとにレタスが収穫できる。緑色野菜の収穫が年間10回以上可能で、生産量は年に50トン以上と推定される。この生産量は、従来の農地の約60ムー(約4ヘクタール)の収穫量に相当する。これにより土地の利用効率を大幅に高め、耕作可能な資源の節約が可能となった。

 都市農業研究所は11月、四川省彭州市(Pengzhou)で開催された「蔬菜博覧会」で「都市現代施設蔬菜LED補助照明栽培モード」の展示エリアを設け、チェーン式伸縮移動補助照明、垂直空間補助照明栽培などのイノベーション技術の数々を披露した。(c)東方新報/AFPBB News