【12月1日 Xinhua News】中国の航空宇宙開発大手、中国航天科技集団はこのほど、中国国土の全域および「一帯一路」共同建設国の重点地域をカバーし、高軌道衛星を用いた衛星インターネット接続が初期段階で構築されたと発表した。

 同社子会社の衛星通信大手、中国衛通集団は、中国でここ数年、高速・大容量でのデータ通信を可能とする通信衛星「ハイスループット衛星(HTS)」の「中星」シリーズの16号、19号、26号の打ち上げが相次いで成功したことを受け、高軌道衛星を用いた衛星インターネット接続を実現させた。

「中星26号」は2023年2月23日に打ち上げられ、成功裏に予定軌道に投入された。その後、東経125度の軌道位置に静止し、軌道上で引き渡され、実証実験などの作業を終え、6月にサービス提供を始めた。現在、正常に運航している。この衛星は、中国1基目の通信速度が1秒当たり100ギガビット(Gbps)超のHTSとして、中国が独自開発した「東方紅4号」の強化型衛星公共プラットフォームを採用し、衛星インターネット接続、および通信伝送の需要を満たす次世代の通信衛星である。

 中国衛通集団の専門家は、「帯域が非常に広く、通信速度が非常に速いのがHTSの特徴」と紹介。家庭でのインターネット接続を例に挙げ、ネットワークが第2世代移動通信システム(2G)から3G、5Gへと進み、帯域が広くなるほど、動画のダウンロードやビデオ通話がよりスムーズになり、体験も改善するのと同じであると述べた。

 同社は今後、容量のより大きな衛星の開発を推し進める計画で、HTSの総容量は、第14次5カ年規画(十四五、2021~25年)末までに500ギガビットに達する見込みという。中国および「一帯一路」共同建設国の航空、航海、非常用、エネルギー、森林・草原などの分野、さらに一般的な利用者向けに、高速な専用通信網を使った通信、衛星インターネット接続サービスが提供できるようになる。

 国境地域に安全で確実、かつ同地域をシームレスにカバーする情報伝送手段を提供し、都市部と農村部の「デジタル・デバイド」を縮小させ、航空・航海市場におけるブロードバンド通信への高い需要にも対応していく。中国のデジタル経済発展に向け、基盤ネットワーク能力を堅固にすると同時に、衛星インターネット接続業務にも、持続可能な発展の新たなビジネスモデルを提供するという。(c)Xinhua News/AFPBB News