【10月24日 AFP】ワールドラグビー(World Rugby)は23日、南アフリカ代表のボンギ・ムボナンビ(Bongi Mbonambi)がW杯フランス大会(Rugby World Cup 2023)準決勝でイングランドのトム・カリー(Tom Curry)に人種差別的な暴言を浴びせた疑惑について、正式に調査を開始したことを明らかにした。

 ワールドラグビーは「人種差別的な振る舞いに関する全ての申し立てを極めて深刻にとらえている」とした上で、「土曜日(21日)に行われたW杯準決勝のイングランド対南アフリカ戦で使用された人種差別的な言葉について、イングランド代表のトム・カリーの申し立てを正式に確認していることをお知らせする」と説明した。

 問題が起きたとされるのは試合の前半で、32歳のムボナンビはカリーに対して「この白人」という言葉に続いて、ののしり言葉を口にしたとされている。カリーが30分頃にベン・オキーフ(Ben O'Keeffe)主審にそのことを報告して何をすべきか尋ねると、主審は「何もしないでくれ」と答えた。試合後、ムボナンビはカリーと握手を拒否したように見えた。

 チームが15-16で敗れて決勝進出を逃した後、ムボナンビから問題発言があったのかと問われたカリーは、「そうだ」と答えつつ、「話す必要はない」と続けた。

 ラグビーで暴言が罰せられることはあまりないものの、過去にはイングランドのジョー・マーラー(Joe Marler)や、南アフリカのジャック・ポトヒエッター(Jacques Potgieter)が処分を受けたことがある。

 マーラーは2016年にウェールズのサムソン・リー(Samson Lee)への不適切発言で2試合の出場停止、ポトヒエッターは2015年にスーパーラグビー(Super Rugby)のフィールド上で同性愛嫌悪の言葉を吐いて罰金を科された。

 スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)は、落ち着かない気持ちでワールドラグビーの判断を待つことになる。

 チームではマルコム・マークス(Malcolm Marx)が負傷したため、デオン・フーリー(Deon Fourie)をコンバートして穴埋めをしているが、ムボナンビがフッカー専門としては唯一の選手になっている。そのため29日のニュージーランドとの決勝に向け、フランスを退けた準々決勝でマンオブザマッチに輝いたムボナンビが離脱する余裕はない。(c)AFP