IOC、ロシア五輪委を資格停止 ウクライナの組織を編入で
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【10月13日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)は12日、ロシアが違法に併合したウクライナ一部地域のスポーツ組織を一方的に編入し、五輪憲章に違反したとして、ロシア五輪委員会(ROC)に「即時」の資格停止処分を科した。
ロシアが2022年の侵攻開始以降に併合を宣言したウクライナのドネツク(Donetsk)、ヘルソン(Kherson)、ルガンスク(Lugansk)、ザポリージャ(Zaporizhzhia)の4地域のスポーツ組織について、ROCが5日にメンバーとして承認したことを受けての対応。4地域のスポーツ組織を管轄するウクライナの国内オリンピック委員会(NOC)の領域保全を侵害したと判断した。
IOCの広報を務めるマーク・アダムズ(Mark Adams)氏は、インド・ムンバイ(Mumbai)で行われた理事会の後、「ROCは五輪憲章で定義されているNOCとして活動する資格を失った。今後は五輪ムーブメントからいかなる資金も受けられない」と述べ、ROCの動きを「一方的な決断」と非難した。
ROCは処分に対し、「またしても逆効果で、政治的な動機による決定だ」と反発した。ロシアのオレグ・マティツィン(Oleg Matytsin)スポーツ相もこれに同調し、「このような決定を下すことにより、IOCは政治的、商業的環境に全面的に依存していることを示し、権威や独立性を失っている」とソーシャルメディアに投稿した。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はIOCの動きを歓迎。「ロシアの誰かが、スポーツや五輪ムーブメントを武器として利用できると考えているなら、それは絶対にうまくいかないだろう」とし、「オリンピズムの原則を守っている全ての人々に感謝する」と述べた。
アダムズ氏は、今回の処分によって、中立の立場で来年のパリ五輪出場を希望するロシア選手に対するIOCの立場が変わることはないと強調。パリ五輪とイタリア・ミラノ(Milan)などで開催される2026年冬季五輪で、ロシア選手の中立の立場での参加を認めるかについては、依然としてIOCに決定権があるとし、3月に定めた方針通り「適切な時期」に判断すると話した。(c)AFP/Julian Guyer