【9月20日 東方新報】「心を一つに、愛は未来に届く」、第19回アジア競技大会(杭州アジア大会、19th Asian Games)が9月23日、中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)で開幕する。世界の目が西湖湖畔に注がれる中、夜のとばりが下りると「中国杭州電競中心(中国杭州eスポーツ競技センター)」の照明ライトが明るく輝く。屋根を飾る何条もの美しい光の帯は未来の科学技術の雰囲気満点、まるで巨大な星雲の渦巻きのようだ。

 eスポーツのファンは、「宇宙戦艦」という愛称のこの建物に一堂に集う日の到来をもう長い間待ち望んでいた。

 
 若い世代が熱愛する新種目eスポーツは、初めて正式な競技種目として今回のアジア大会に登場する。「中国音像与数字出版協会(中国オーディオビデオとデジタル出版協会)」が発表した「2023年1-6月中国eスポーツ競技産業報告」によると、この産業の今年1-6月の全体収入は759億9300万元(約1兆5393億5220万円)で、前期比11.74%の伸びとなった。

 中国のeスポーツの競技人口は、およそ4億8700万人規模に達している。これほど大きな規模のeスポーツユーザーの支持を得て、「eスポーツ競技会の火」がいよいよ美しい秋の杭州でともされることになった。

 eスポーツとアジア大会との縁は5年前にさかのぼる。アジアオリンピック理事会は、18年ジャカルタ開催のアジア大会でeスポーツを公開競技として組み入れた。これに参加した中国選手は13名、「王者栄耀(Honor of Kings)の国際タイトル『Arena of Valor 』」「クラッシュ・ロワイヤル(Clash Royale)」「英雄連盟(League of Legends)」の3種目で金メダル2個、銀メダル1個の好成績を収めた。

 その後、20年末のアジアオリンピック理事会39回全体代表大会の席で、eスポーツを杭州アジア大会の公式競技種目にすることが宣言された。21年11月には、「英雄連盟」「アジア大会専用タイトル『和平精英(ゲーム・フォー・ピース、Game For Peace)』」「ハースストーン( HearthStone)」など八つの競技種目が発表され、その後今年「ハースストーン」が外された結果、合計7種目となった。

 先日eスポーツ競技のチケット販売が開始されたが、その販売は抽選方式が採用され、当選者が後払いでチケット代金を支払うことになる。チケットを獲得できるか否かは応募の順番とは関係なく、運次第だ。今回のアジア大会のチケットの中で唯一の抽選方式での販売となった。

 また大会ウェブサイトのチケット購入ページには「eスポーツ競技のチケットの単価は他の競技種目のチケットよりも高い」と注記されている。

 チケットの購入状況から見ても、eスポーツ競技の人気の高さが分かる。

「アジア電子体育連合会(AESF)」の霍啓剛(Huo Qigang)主席は「アジアの電子競技は今やはつらつと発展する産業となった。巨大な潜在力が解き放たれて、異なる背景や文化、国籍が違う人びとを一つにつなぐものとなっている」と、eスポーツ競技の重要性を語っている。(c)東方新報/AFPBB News