【8月23日 Xinhua News】中国北京市で22日まで開催中の2023世界ロボット大会では、国内外のロボット企業160社が約600点を展示、うち新製品60点が世界で初めて披露された。

 唐代の詩人、李白と杜甫を模した人型ロボットは、最も注目を集めた展示の一つとなった。ロボットを開発した大連蒂艾斯科技発展(EXロボット)でブランドメディア部の責任者を務める鄭雅欣(Zheng Yaxin)さんは、人間の表情や声、動きを再現することで人々とやりとりできるとし、既に文化や観光、教育などの分野で利用されていると紹介した。

 ロボットアームの研究開発などを手がける睿爾曼智能科技の展示エリアでは、多くの来場者がロボットによるマッサージを体験した。マーケティング部の巣佳琦(Cao Jiaqi)総監はマッサージロボットの仕組みについて、視覚センサーで体型を認識してマッサージの軌道を生成し、ロボットアームと連携しながら柔軟な力加減と自動温度調節を実現することで、肩や背中の筋肉群をほぐすと説明した。

 果樹園用マルチアーム収穫ロボットは、農業の現代化とスマート化を来場者に印象付けた。プロジェクト責任者の李濤(Li Tao)氏によると、同装置はロボットアームと摘み取り装置によって、摘み取りから貯蔵まで全工程の自動化を実現する。昼夜連続で作業することもでき、1時間当たりの収穫量は400~550個、収穫効率を大幅に向上させると同時に果実の損傷も最大限に防ぐ。現在、北京や山東省などで活用されており、将来的には米国やオーストラリアなどの海外市場を開拓するという。

 中国科学院の外国籍院士(アカデミー会員)で日本工学アカデミー会員の福田敏男氏は、食糧生産の効率化や極限環境での緊急救助、高齢者介護など多くのシーンにおいて、ロボットは人間の助けになると述べた。また、持続可能な開発目標(SDGs)の多くはロボット技術と密接に関連しているとも指摘。ロボットは人類が気候変動や食糧安全保障、高齢化などの課題解決に役立つとし、世界各国のロボット関連企業や科学研究機関も協力を強化し、未来に向けて大きく前進しなければならないと述べた。

 2022年の中国のロボット産業全体の売上高は1700億元(1元=約20円)を超えた。中国工業・情報化部の辛国斌(Xin Guobin)副部長は、常に先進製造業の重要なシンボルであるロボットは、人類社会をスマート時代へと加速させ、世界経済の発展と繁栄を促進し、全人類の幸福を高め続けていると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News