【4月11日 東方新報】春の到来はうれしいものの、この時期辛いのが花粉症。止まらぬくしゃみと目や鼻の不快なかゆみはもはやあいさつがわりで、花粉症は日本独自の「文化」というイメージを持つ人も多いと思うが、最近では中国でもアレルギー症状を自覚する人が増えた。中国メディアも特集を組んで注意喚起するが、すっかり花粉症が「市民権」を得た日本に比べると、基本的な内容が多く啓発の要素が強い印象だ。

 国営中国中央テレビ(CCTV)は、アレルギーを引き起こす花粉の運ばれ方から説明した。専門家の話では、花粉には虫に運ばれるものと風に運ばれるものの2種類あり、アレルギーを引き起こすのは後者だという。虫に運ばれるのはアブラナやモモの花粉で、花がきれいで香りが良いという特徴がある。チョウやミツバチに介される花粉は、粒子が大きく量が少なくてそこら中に飛び散るわけではないので人のアレルギーの原因にはならない。

 一方、風に媒介される花粉をもつのは、ヤナギ、カシワ、カバなど。花が小さく花粉は量が多くて軽い。風によって至るところに運ばれてしまうため、人にアレルギーを引き起こすのは主にこちらだ。

 日本ではスギやヒノキの花粉に反応する人が多いとされるが、中国ではヤナギやカシワの花粉に苦しむ人も多いというのはお国柄の違い出て興味深い。ちなみに首都・北京市では街路樹としてヤナギが多く、春になると空気中に柳絮(りゅうじょ)と呼ばれる綿毛のついた種子が大量に舞う。光を反射しながら雪のように飛ぶ柳絮は、春の風物詩として美しいのだが、外を歩く人や特に自転車に乗る人の目や口へ遠慮なく侵入してくるのでアレルギーに負けないくらい厄介だ。

 北京の新聞「新京報(Beijing News)」は、北京同仁病院の張媛(Zhang Yuan)医師との一問一答を通じて、花粉症の原因や症状の特徴を紹介した。

 張医師は「2005年には全国のアレルギー性鼻炎の罹患(りかん)率は11.5%だったのに対し、6年後の2011年には17.6%に増えている」と疫学調査の結果に触れた上で、「診察においてもアレルギー性疾患の患者が増えている」と実感を述べる。原因は、環境や気候の変化と関係している可能性があるのではないかという。

 雨が降った翌日に晴れると、地面におちた花粉が再び舞い上がって空気中の濃度が増すこともある。張医師はそのような例に触れた上で、花粉症の人は花粉の濃度以外にも天気の変化にも注意を払って、マスクの着用や鼻の洗浄など事前の予防措置を怠らないよう呼び掛けている。

 コロナ禍の経験に加え、今や花粉症も一般的になりつつある中国。不思議そうに若干上から目線で、「日本人はなぜ普段からマスクをしているの?」と聞かれた頃が、少し懐かしい。(c)東方新報/AFPBB News