【10月5日 Xinhua News】中国の前漢時代に現在の雲南省(Yunnan)に存在した滇(てん)国の考古学調査で大きな進展があった。同省の河泊所遺跡で昨年以降に大量出土した漢代の封泥(ふうでい、書物の封印に用いた粘土)や簡牘(かんどく、文字を記した竹札と木札の総称)により、前漢の朝廷が雲南に統治権を行使していたことが実証された。

 中国国家文物局が9月28日に開いた「考古中国」重大プロジェクト記者会見で、雲南省文物考古研究所が同遺跡の最新調査成果を発表した。

 河泊所遺跡は同省昆明市(Kunming)晋寧区上蒜鎮(Shangsuan)河泊所村の付近にあり、滇国文化の中心的居住エリアとされる。遺跡の北東約1キロには、かつて「滇王金印」が出土した石寨山古墓群がある。

 同研究所の劉正雄(Liu Zhengxiong)所長によると、昨年以降の発掘調査で両漢時代(前漢・後漢)を中心とする文化層を確認。建築基礎や灰坑、墓、水路、井戸などの重要遺構が見つかったほか、封泥や簡牘、銅器、鉄器、骨器、玉石器など2千点余りが出土した。

 劉氏は「中でも封泥と簡牘、大型建築基礎、道路などが重要な発見となった」と指摘。500点以上見つかった封泥には、「益州太守章」や益州郡管轄下24県のうち18県の長官が用いた官印封泥、「宋虞之印」「君馮私印」などの私印封泥が含まれるとし、これらが集中的に出土した場所は当時の文書資料廃棄所だった可能性があるとの見方を示した。

 簡牘は、上蒜鎮の発掘グリッドの一つで見つかった灰坑から集中的に出土した。整理を終えたのはまだ一部だが、文字が鮮明な断片200点余り、不鮮明な断片千点余りを確認。「滇池以亭行」「建伶県」「始元四年」などの文字が読み取れた。

 発掘チームのリーダーを務める同研究所の蔣志竜(Jiang Zhilong)研究館員によると、今回の発掘調査では大型建築基礎と幅12メートルの道路、長さ48センチの瓦片のほか、瓦当(がとう、筒瓦の先端部分)や敷きれんがなども見つかり、前漢が設置した益州郡の郡治(郡太守の治所)が発掘現場付近にあったことが示された。

 滇国は、古くから多民族地域だった雲南で戦国時代から漢代まで続いた地方政権で、西南夷の一部に属した。漢の武帝が滇国に兵を向けると滇王は投降し、漢は益州郡を設置したが、滇王に王印を下賜し、引き続き民を治めさせた。(c)Xinhua News/AFPBB News