【4月30日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)文物考古研究所の張春竜(Zhang Chunlong)研究員はこのほど、同省益陽市(Yiyang)の兔子山遺跡から出土した前漢時代の簡牘(かんどく、文字を記した竹札と木札の総称)6枚に、秦代の書籍所持禁止から漢初の蔵書や献本、借本の流行に至る歴史の変化が記されていたと明らかにした。

 発掘調査チームを率いる張氏は、2013年に同遺跡の発掘が開始されて以降、出土簡牘を体系的に調査してきた。張氏によると、簡牘6枚はいずれも7号井から出土。漢高祖11(紀元前196)年から恵帝(第2代皇帝)期の前漢初期のもので、全てに「献書(献本)」の文字が確認できたという。

 秦の始皇帝は中国を統一すると「挟書律(きょうしょりつ)」を制定し、民間の書籍収集や所蔵を禁じた。この法律の制定と同時に、書籍を焼き、儒学者らを生き埋めにした「焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)」も起きた。挟書律は秦の後に中国を統一した漢でも継続されたが、恵帝の時代に廃止されると、長い間抑圧されていた儒教などの思想が息を吹き返した。

 張氏は、簡牘6枚が挟書律の廃止後に社会で借本、献本、蔵書の風潮が起きたことを示していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News