【2月17日 AFP】オーストラリアのエネルギー大手オリジン・エナジー(Origin Energy)は17日、同国最大の石炭火力発電所を予定より7年早い2025年に廃止する方針を発表した。再生可能エネルギーのコスト低下を受け、採算が合わなくなったのが理由としている。

 廃止されるのはシドニー北郊のエラリング(Eraring)発電所。オリジンは投資家向けに、「再生可能エネルギーの参入」で「採算が悪化した」と説明した。

 同発電所は稼働開始から40年近くたっており、2032年に廃止される計画だった。

 現在、発電容量720メガワットの石炭火力発電設備4基と42メガワットのディーゼル火力発電設備1基が稼働しており、最大州ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の電力需要の4分の1を賄っている。

 炭鉱・エネルギー産業の労働組合「マイニング・アンド・エナジー・ユニオン(Mining and Energy Union)」のロビン・ウィリアムズ(Robin Williams)代表は「きょうの発表で、エラリング発電所で生計を立ててきた多くのレイクマッコーリー(Lake Macquarie)とハンターバレー(Hunter Valley)の住民の将来設計が不透明になった」と話した。

 石炭発電所への投資を後押ししてきたアンガス・テイラー(Angus Taylor)エネルギー・排出削減担当相は、エラリング発電所と「同等の代替施設」の建設を確実なものとしたいと表明。今回の動きは「手頃な価格と安定性をリスクにさらすことになる」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 左派系シンクタンク「オーストラリア・インスティテュート(Australia Institute)」所属の気候・エネルギー問題の専門家、リッチー・マージアン(Richie Merzian)氏は「オーストラリアの政治家たちは衰退産業をてこ入れして偽りの希望を持たせるのではなく、石炭発電産業に依存している地域社会と労働者の生活を保障する計画を立案すべきだ」と訴えた。

 オーストラリアは世界有数の石炭生産国で、石炭は主要な輸出品。現政権は石炭火力発電所の新設を支持している。(c)AFP/Andrew BEATTY