【2月13日 AFP】サウジアラビアのアルペンスキー五輪選手と言われて、聞き間違いだと思う人もいるかもしれない。しかしファイク・アブディ(Fayik Abdi)は、北京冬季五輪でそれをやってのけた。

 レース本格挑戦からわずか1年で、24歳のアブディは13日のアルペンスキー男子大回転で完走に成功し、本人が期待する雪上からのアラブ革命に向けた第一歩を刻んだ。

 北京五輪に出場したサウジアラビアの選手はアブディただ一人。同国はアラビア半島南部に広がるルブアルハリ砂漠(Rub al Khali Desert)が有名で、スキーの名所ではない。

 もちろん、アブディもスキーを始めたのは母国ではなくレバノンで、子どもの頃にはそこで多くの冬を過ごした。スイスでの合宿を経験した後、2016年にはさらなる高みを目指そうと米ユタ州で腕を磨いた。

 この日のレースでは2本目に生き残ると、41選手が脱落する中で完走し、優勝したマルコ・オデルマット(Marco Odermatt、スイス)から37秒以上遅れた44位でフィニッシュした。

 アブディは「目標は単なる完走ではなく、今できる最高の滑りをすることだった」と話し、「ベストを尽くしたことには満足している。もちろん、もっとやれたはずだが、完走できたのは間違いなくプラスになる」と続けた。

 それでもアブディは、今回の結果は個人としての目標以上のものだと強調する。

「この結果を自分だけのものにはしたくない。好きなことに取り組み、情熱を注げるものを見つけたいと思っているサウジの人たちを刺激し、勇気づけるものになってほしい。みんなに影響を与え、正しい形で国を代表できていればうれしい」 (c)AFP/Luke PHILLIPS