【1月28日 People’s Daily】中国国務院関税税則委員会は2021年12月15日、2022年1月1日から中国は954品目に対し最恵国(MFN)税率を下回る輸入暫定税率を実施するとの通知を発表した。

 具体的には、患者の経済的負担を軽減し、人民の健康と福祉を絶えず向上させるため、中国は新型抗がん剤の塩化ラジウム注射液に対しゼロ関税を実施し、頭蓋内栓取りステント、人工関節など一部の医療製品の輸入関税を引き下げる。人民の美しい生活のニーズを満たし、消費のアップグレード傾向に順応し、北京冬季五輪の雰囲気を濃厚にするため、サケ、タラなどの良質な水産物、ベビー服、食器洗浄機、スキー用品などを含む一部消費財の輸入関税を引き下げる。文化消費ニーズに対応するため、100年以上前の油絵などの芸術品に対しては関税をゼロにする。

 同時に、環境の質を改善し、グリーン低炭素発展を推進するため、中国は車両の燃費を向上させ、排ガスを減らすことができる粒子状物質減少装置、自動車用電子式スロットル、および土壌修復に利用できる泥炭に対し、輸入関税を引き下げる。製造業の改善・アップグレードを支援するため、高純度黒鉛部品、高速列車に使用する高電圧ケーブルや、燃料電池用膜電極アセンブリ、バイポーラプレートなどの重要部品の輸入関税を引き下げ、カカオ豆、エッセンシャルオイル、動物の毛皮などの食品加工、家庭用化学製品、皮革製造業に必要な原材料の輸入関税を引き下げる。また、中国国内で不足している黄鉄鉱、純塩化カリウムなど資源製品の輸入関税も引き下げる。

 中国人民大学(Renmin University of China)公共管理学院の許光建(Xu Guangjian)教授は、上述の調整措置は国内の発展の需要に立脚し、国内の産業チェーン・サプライチェーンの安全・安定維持、経済の周期をまたいだ安定運行、長期好転の支援、資源配置のけん引、科学技術イノベーションと産業のモデルチェンジ・グレードアップへの支援、グリーン低炭素の発展促進に有利だとみている。

 ハイレベルの対外開放を持続的に推進するため、中国が関係国・地域と締結した自由貿易協定(FTA)と特恵貿易協定(PTA)に基づき、中国は2022年に、29か国・地域で生産される一部の商品に対し協定税率を実施する。

 大いに注目を集めている域内包括的経済連携(RCEP)協定は、2022年が初年度で減税を実施する。対外経済貿易大学(University of International Business and Economics)国際経済貿易学院の崔凡(Cui Fan)教授は、中国と日本が初めて関税減税措置を実施することは、双方に新たな市場のチャンスをもたらすだろうとみている。RCEP協定の発効後、メンバー国間で関税減税を実施することは、域内の貿易投資の成長を促進し、東アジア地域の経済一体化のレベルを高め、地域の産業チェーン、サプライチェーンおよびバリューチェーンの融合を強化・推進し、各メンバー国の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の後の経済成長に対する自信を高めることに役立つ。中国の超大規模市場の優位性の発揮、世界の産業チェーンの再形成の積極的な参与、世界に向けた高標準の自由貿易区ネットワークの構築、ハイレベルの対外開放の持続的な推進にもプラスになるだろう。

 今回の調整は、最恵国税率に関する内容も含まれている。2022年7月1日から、中国は「情報技術協定」により範囲を拡大された製品に対し最恵国税率の第7段階の減税を実施し、計62の製品に及ぶという。調整後、中国の関税の全体的水準は引き続き7.4%を維持し、2021年と同じ水準を維持する。(c)People’s Daily/AFPBB News