■ステルシングを罰する法律の効果は?

 ガルシア氏は、ステルシングによる心の傷を世の中で理解してもらう役割を果たしているとして、英テレビドラマ「I May Destroy You(原題)」を挙げた。作品を制作し、監督を務めたミカエラ・コール(Michaela Coel)氏自身が、ステルシングの被害者である主人公を演じている。

 2019年に米国で発表された調査結果によると、調査対象となった21~30歳の女性の12%にステルシングの被害体験があった。

 米コーネル大学(Cornell University)法学部のシェリー・コルブ(Sherry Colb)教授によると、暴行罪の成立要件として力ずくかどうかを問わない一部の州では、すでにステルシングが性的暴行の定義を満たしている可能性がある。

 コルブ氏は、「同意した内容とは違うことが起きる状態」を説明し、「インフルエンザの予防接種で滅菌済みの針を使用するという条件に同意したのに、いざ注射を打ってもらうときになって医師に使用済みの針を使われるようなものだ」と例えた。

 同氏はステルシングを罰する法律ができることは歓迎しているが、どれほど効果があるかは分からないと話す。特に、告発された側が「コンドームが(意図せず)外れた、または女性側がコンドームを外すことに同意した」と主張する可能性があるからだ。

 さらに懸念されるのは陪審だ。陪審が「非常に性差別的な考え」を持っていれば、被害者が最初に性行為に同意していたという理由で、その証言をあまり信用しない可能性があるとコルブ氏は指摘した。(c)AFP/Lea DAUPLE