【6月20日 CNS】中国の若者の間で人気となっている「盲盒(ブラインドボックス)」。日本のガチャガチャに似ていてフィギュア人形が出てくるタイプが多いが、最近は小中学生が文房具のブラインドボックスにハマるようになっている。子ども同士の競争や「レア物」を手に入れるため大量買いするケースも目立ち、保護者からは依存症を心配する声も出ている。

 北京市朝陽区(Chaoyang)中心部の三元西橋近くの文房具店では、店内の目立つ場所にカラフルなブラインドボックスが並んでいる。ペンやノート、消しゴム、文房具の福袋など種類は豊富。価格は数元から数十元で、ペンのブラインドボックスだけで10種類以上ある。

 店員は「子どもたちは店内に並ぶ文房具を選ばす、ブラインドボックスで文房具を買います。多少、高い値段でも買う子どももいますね。ペンのブラインドボックスが比較的安いので人気が高いですよ」と説明する。

 こうしたブームについてSNSでは保護者の投稿が活発だ。「5元(約85円)で手に入るブラインドボックスのペンは、通常のボールペンと値段はあまり変わらない。子どもがワクワクを楽しめる分、お得といえる」という意見の一方、「『隠れバージョン』が出てくるまで子どもが買い続けようとする」という声がある。

 北京市通州区(Tongzhou)に住む王(Wang)さんは「小学4年生のうちの子どもはブラインドボックスが好きだが、中身を捨ててしまうことがある」と打ち明ける。ブラインドボックスにつぎ込むためにお小遣いをせがむ回数が増え、「子どもが依存症になり、いずれギャンブルにハマってしまうのではないか」と心配している。

 清華大学(Tsinghua University)脳知能研究所の高楊(Gao Yang)研究員は「何が出るか予測できないブラインドボックスは人々に驚きの感覚を与え、脳を刺激してドーパミンを分泌する。これはギャンブルの状況に似ており、依存症につながりやすい」と指摘する。しかし子どもの側から見ると、「友達グループで自分だけブラインドボックスをしていないと、自分の存在感が低下してしまう。大人が高級品を買おうとするのと同じで、一種のアイデンティティーの問題と、グループに入っていたい願望から来るものです」と分析する。

 ブラインドボックスの賢い利用法について、高氏は「子どもがブラインドボックスでキャラクターグッズを手に入れた場合、親がそのグッズにまつわる物語や知識を教えてあげれば、子どもは娯楽を通じて知識の探求に関心を持つようになる」と具体例を挙げる。また、ギャンブルで得られる感覚は、利他的な行動で得られる喜びの感覚と実は同じであるとし、「子どもに他人の手伝いや家事の協力をする機会を与えることが重要だ」と提案している。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News